肺がんの病期(ステージ)
Q.肺がんの病期(ステージ)について教えてください
A.病期(ステージ)は、がんの進行の程度を示す言葉で、肺がんでは、がんの大きさ、広がり、リンパ節やほかの臓器への転移の有無によって決められます。
肺がんの治療方針は、組織型と病期でほぼ決まるため、病期の決定は重要です。
がんの病期(ステージ)は、がんができた場所やがんの大きさ、広がり、がん細胞や組織の性質、リンパ節やほかの臓器への転移など、病気の経過に強い影響を及ぼす客観的な指標を組み合わせて決められます。
肺がんの病期は、国際対がん連合(UICC)により決められているTNM分類(改訂第8版、2017年1月)(図表4、5)を用いて決定されます。
肺がんでは、組織型にかかわらず
①最初に発生した肺がんがどの程度大きくなり、どこまで広がっているかをみるT因子(原発腫瘍primary Tumorの状況)、
②リンパ節への転移とその広がりをみるN因子(所属リンパ節regional lymph Nodesの状況)、
③リンパ節以外のほかの臓器への転移とその広がりをみるM因子(遠隔転移distant Metastasisの状況)
の3つの因子を組み合わせて、病期を潜伏期、0期、ⅠA1期、ⅠA2期、ⅠA3期、ⅠB期、ⅡA期、ⅡB期、ⅢA期、ⅢB期、ⅢC期、ⅣA期、ⅣB期の13段階に分類しています。
病期分類は細かく分かれていますが、0期に近いほどがんは小さくとどまっており、Ⅳ期に近いほどがんは広がっているとみなします(図表6)。
治療方針に大きく影響する病期
肺がんでは、非小細胞肺がんか小細胞肺がんかという組織型と病期の2つの要素で治療方針がほぼ決まるので、病期の決定は非常に重要です。
肺がんと診断されたら、がんの大きさ、広がり、転移の有無から病期を決定するために、胸部X線検査、胸部CT検査などが行われるほか、転移しやすい脳、肝臓、副腎、骨などを頭部MRI検査、腹部CT検査、腹部超音波検査、骨シンチグラフィ、PETなどで調べます。
小細胞肺がんでは骨髄にも転移することがあるので、骨髄生検が追加されることがあります。
参考資料
もっと知ってほしい肺がんのこと 2017年版,pp.6-7