肺がんのケア
体の痛みや心のつらさを我慢しないで!
苦痛を和らげてくれる専門家がいます
がんの痛みには、治療に伴う急性痛とがんの進行に伴って現れる慢性痛があります。これらの痛みに対して、WHO(世界保健機関)は、1986年に「がん疼痛治療指針」を発表し、痛みの段階に応じた治療法を示しています。
がんの痛みの治療を専門とする医師、看護師、薬剤師も増えていますので、いつでも必要なときに遠慮せずに相談したいものです。まずは担当医や病棟看護師に痛みの強さや性質をできるだけ具体的に伝えてみましょう。
緩和ケアチーム
一般病棟の入院患者に対して担当医や病棟看護師と協力しながらチームで痛みの治療やケアを行います。厚生労働省が定めた基本的な構成員は身体的苦痛、精神的苦痛に対応する医師各1人ずつ、看護師の合計3人です。
緩和ケア病棟(ホスピス)
いわゆる終末期の患者さんを対象にした病棟で、体の苦痛だけでなく心のつらさや苦しさも和らげることを重要な支援として位置づけています。ときにはボランティアもチームに加わり、患者さんと家族をサポートします。
「がんの疑いがある」といわれた時点から患者さんは動揺したり、不安になったり、落ち込んだり、怒りがこみ上げてきたりと、さまざまな心の葛藤に襲われます。多くの患者さんは家族や友人、医師や看護師などにつらい気持ちを打ち明けることで徐々に落ち着きを取り戻しますが、2~3割の患者さんは心の専門家(下欄)による治療が必要になるといわれています。不安や落ち込みで眠れない日が続くようなら心の専門家に相談してみましょう。
精神腫瘍医
がん患者さんとその家族の精神的症状の治療を専門とする精神科医または心療内科医のことです。厚生労働省や日本サイコオンコロジー学会を中心に精神腫瘍医の育成や研修が行われています。
リエゾンナース
患者さんの心のケアを直接行ったり、病棟看護師に心のケアの助言をしたりする精神看護の専門ナースです。日本看護協会が認定する精神看護専門看護師もリエゾンナースとして活動しています。
臨床心理士
臨床心理学にもとづく知識や技術を使って心の問題にアプローチする専門家のことです。がん専門病院を中心に精神腫瘍医やリエゾンナースとともに患者さんや家族の心のケアを行っています。
経済的に困ったときの対策は?
がんの治療費について困ったときは一人で抱え込まず、かかっている病院のソーシャルワーカー、または近くのがん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターに相談しましょう。相談支援センターでは、地域のがん患者さんからの相談も受け付けています。
治療費の大半は公的医療保険が適用となり、患者さんの自己負担は治療費の1~3割です。さらに高額療養費制度を利用すると、一定限度額を超えた自己負担分の払い戻しが受けられます。
参考資料
もっと知ってほしい肺がんのこと 2017年版,pp.26