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小細胞肺がんの治療

Q.小細胞肺がんではどのような治療が行われますか

A.小細胞肺がんは、進行が速く、転移しやすいがんですが、化学療法や放射線療法が効きやすく、2剤併用化学療法と同時に胸部放射線照射を行うことが標準治療です。


 小細胞肺がんは進行が極めて速いがんで、病巣が限られているように見えても、すでにがん細胞が全身に広がっている可能性があります。がん
 細胞の分裂スピードが速いので、化学療法や放射線療法によく反応し、これらの治療がよく効きます。
 そのため、手術適応はⅠ期のみで、術後に化学療法が追加されます(術後補助化学療法)。

 Ⅱ期以降の治療の主体は化学療法になります。
 ⅡA~ⅢB期(対側の肺門リンパ節転移や大量胸水を認めるものを除く)で、病巣が限られている場合には化学療法に放射線療法を併用すること(化学放射線療法)が、ⅢB~Ⅳ期では化学療法のみが一般的な治療となります(肺がん治療 図表8.組織別・病期別治療法の概略)。

 抗がん剤の組み合わせとしては、シスプラチン+エトポシド(PE療法)、シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン(CAV療法)とPE療法の交代療法のほか、日本ではシスプラチン+イリノテカン(PI療法)が標準治療として推奨されています。
 高齢者や一般的な全身状態の悪いPS2では、カルボプラチン+エトポシド療法が多く行われています。いずれの治療も3~4週間を1コースとして4~6コース行うことが推奨されています。

 化学放射線療法を行う場合は、PE療法と放射線療法を同時に、あるいはPE療法を終了後に放射線療法を実施します。
 放射線療法は1日2回照射法が採用されており、総線量45Gy を1回1.5Gyで1日2回、週5日(10回)×3週間かけて照射するのが標準的治療です。

縮小効果は7~8割

 小細胞肺がんでは、化学療法や化学放射線療法によるがんの縮小効果は明らかで、約7~8割に縮小効果が認められます。
 一方、小細胞肺がんは初発治療後、再発しやすいため、初発の化学療法や化学放射線療法により、画像上でがんが完全に、あるいはほぼ消失した場合には、脳への転移を防ぐために予防的全脳照射(放射線治療、1回2.5Gy、1日1回、合計10回、総線量25Gy)が行われます。

 再発した場合は、イリノテカンやノギテカン、アムルビシン、エトポシドなどの薬剤による化学療法が試みられます。

小細胞肺がんの病期(ステージ)

参考資料

もっと知ってほしい肺がんのこと 2017年版,pp.21

公開日:2022年1月21日 最終更新日:2022年1月21日

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