原発性マクログロブリン血症とは
Q.原発性マクログロブリン血症とはどんな病気ですか
A.血液がんであるリンパ腫の一種です。私たちの体を守る免疫細胞のB細胞、リンパ形質細胞、形質細胞ががん化し、異常な免疫グロブリンであるマクログロブリン (IgM型Mタンパク)が血液中に増加して、さまざまな症状を引き起こします。
◆移植を受ける人の治療法
原発性マクログロブリン血症は、比較的ゆっくり進行する低悪性度B細胞リンパ腫に分類されるリンパ形質細胞性リンパ腫の一種です。リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL:Lymphoplasmacytic lymphoma)では免疫細胞のB細胞、リンパ形質細胞、形質細胞ががん化し、骨髄やリンパ節などで増え続けます。
LPLのうち、がん細胞が骨髄へ広がり、ウイルスや細菌を攻撃する能力のない異常なIgM抗体(免疫グロブリン)であるマクログロブリン(IgM型Mタンパク)が血液中で増加している病態が、原発性マクログロブリン血症です(図表1)。LPLの90~95%をこの病気が占めます。「原発性」とは原因不明、あるいは、ほかに原因がないことを意味します。
海外では、この病気を初めて報告したスウェーデンの医師の名前を冠し、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM:Waldenström’s macroglobulinemia)と呼んでいます。日本でも原発性マクログロブリン血症の略語にはWMを用います。
原発性マクログロブリン血症は血液がんの中でもまれなもので、日本では年間の発症数は100万人当たり2.8人(※1)、年間300人前後が新たにこの病気を発症していると推計されます。20~50代で発症することもありますが、60~70代の男性に多い病気です。
※1「多発性骨髄腫の診療指針2024 第6版」 日本骨髄腫学会編、文光堂
◆WMとLPLの症状
健康診断やほかの病気の診察中に症状がない段階で見つかる人も多いものの、IgM型Mタンパクが骨髄や血液の中で増殖し続けると、「B症状」「骨髄不全」「高IgM血症」「BingNeel(ビングニール)症候群」「臓器の腫れ」 などの症状が出現します。
B症状とは、持続する発熱、大量の寝汗、 体重減少のことです。骨髄不全は、正常な血液細胞をつくる造血機能が損なわれることで、貧血になるために、体がだるい、頭痛などの症状が生じます。
血液中のIgM濃度が過度に高まる高IgM血症は、原発性マクログロブリン血症の特徴的な病態です。IgM型Mタンパクは分子量が大きいので増殖すると血液がドロドロになり、意識障害や眼底出血などが生じる過粘稠度症候群、手足の冷え、貧血などが出る寒冷凝集素症、手足のしびれが生じる末梢神経障害などの症状が出ます。
Bing-Neel症候群は、がん細胞が中枢神経系(脳と脊髄)に広がり、増殖することによって起こる症候群です。ものが二重に見える、頭痛、意識障害、めまい、認知機能の低下などの症状が出ることがあります。臓器の腫れは、がん細胞が浸潤・増殖したことによって起こる症状で、リンパ節、脾臓、肝臓が腫れることがあります。出現する症状やその強さは、個々の患者さんによって異なります。
参考資料
もっと知ってほしい原発性マクログロブリン血症のこと 2025年版, p.4-5


