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薬物療法の副作用

Q.薬物療法の主な副作用とその対処法について教えてください。

A.原発性マクログロブリン血症の治療ではほとんどの人に副作用が出現します。 副作用が出る時期や症状は使う薬によって異なります。
主な副作用とその対処法を知っておきましょう。


 原発性マクログロブリン血症とそのほかのリンパ形質細胞性リンパ腫の治療薬にはさまざまな副作用があります。治療を選ぶ際には、どのような副作用が起こりやすいかも選択基準の一つになります。薬物療法を受ける前に、起こりやすい副作用(図表10)とその出現時期を知っておくことが大切です。ただし、図表10は、各薬剤の添付文書を元に作成したもので、すべての副作用が起こるわけではありません。参考程度にとどめてください。

 薬やサプリメントによっては、原発性マクログロブリン血症の薬物療法と併用しない方がよいものがあります。普段使っている薬やサプリメントがある場合には、必ず担当医に伝えましょう。

 原発性マクログロブリン血症の治療に用いる薬のほとんどに出やすい副作用は、血液をつくる機能が低下する骨髄抑制です。この骨髄抑制のほか、肝機能障害、腎障害、心機能障害、間質性肺炎などの副作用は検査しないとわからないことも多いため、薬物療法中は定期的に血液検査、X線検査、心電図検査、電解質検査などでそのような副作用が生じていないか確認します。

◆抗CD20抗体薬の副作用

 リツキシマブ(リツキサンほか)で最も注意が必要な副作用は、点滴開始直後から24時間以内に起こるインフュージョン・リアクションです。主な症状は、急な発熱、寒気、 吐き気、頭痛、かゆみ、発疹などです。また、血清IgM値が4000㎎/dLを超えている状態でリツキシマブを投与すると、IgMフレア (「血漿交換について」参照)が起こりやすくなります。

◆ステロイド薬の副作用

 デキサメタゾン(デカドロン、デキサートほか)で起こりやすい副作用は、不眠、下痢、吐き気、脂肪がついて顔が丸くなる満月様顔貌(ムーンフェイス)です。脱毛が起こったり毛深くなったりする人もいます。

◆殺細胞性抗がん剤の副作用

 アルキル化薬のシクロホスファミド(エンドキサン)は吐き気・嘔吐、下痢、口内炎、脱毛、肝機能障害が生じやすい薬です。脱毛は薬の投与から1~3週間後に始まり、髪の毛だけではなく眉毛やまつ毛、体毛も抜けることが少なくありません。ただ、多くの場合、薬の投与が終われば、3~4カ月後には短い毛が生え始めます。

 また、ベンダムスチン(トレアキシンほか) や再発・再燃治療に用いられる代謝拮抗薬のフルダラビン(フルダラ)は、帯状疱疹、間質性肺炎を起こしやすいので注意が必要です。帯状疱疹は予防ワクチンがありますが、原発性マクログロブリン血症の人はウイルスなどを攻撃する抗体ができにくく、ワクチンの効果が出にくい可能性が高くなります。

◆分子標的薬の副作用

 プロテアソーム阻害薬のボルテゾミブ(ベルケイドほか)を含む薬物療法では、間質性肺炎、末梢神経障害(手足のしびれなど)といった副作用が出る恐れがあります。そのため肺の機能が低下している人やすでに末梢神経障害のある人は他の治療法を検討します。 ボルテゾミブは皮下に注射すると、静脈内投与よりも末梢神経障害が出にくくなります。

 衣服のボタンが留めにくくなった、つかんでいた物をよく落とすようになった、つまずくことが多くなった、食べ物を飲み込みにくいなどの症状は、末梢神経障害によって生じている可能性があります。この副作用に対する予防法や治療法は確立されていないので、 末梢神経障害が生じたら、薬の減量や休薬を検討します。

 BTK阻害薬のイブルチニブ(イムブルビカ)は感染症、心房細動などの不整脈、鼻出血などの出血リスク、下痢を生じやすい薬です。 65歳以上の人は65歳未満の人に比べて重篤な副作用が出やすいことがわかっています。

 チラブルチニブ(ベレキシブル)は発疹などの皮膚障害に注意が必要ですが、多くは抗アレルギー薬やステロイド薬の外用で改善します。頻度は少ないものの、中毒性表皮壊死溶解症など重い皮膚障害では発熱や全身倦怠感を伴い、口、眼を含む全身に赤い斑点、水ぶくれなどが広がります。

 ザヌブルチニブ(ブルキンザ)で注意すべきなのは、胃腸や脳の出血、感染症、不整脈、心機能障害、間質性肺炎です。

 BTK阻害薬で強い副作用が出たときには、薬を減らしたり変更したり、休薬したりすることがあります。副作用が出たときには受診予約を早めて担当医に相談しましょう。自己判断で薬の服用を休止したり減らしたりすると、病気が進行してしまうことがあるので、 服用の仕方を勝手に変えるのはやめましょう。

原発性マクログロブリン血症の治療薬の主な副作用

◆副作用を抑える支持療法

 殺細胞性抗がん剤によって起こりやすい吐き気や嘔吐といった副作用は、支持療法の進歩によってかなり軽減できるようになってきています。症状の出方には個人差があるので、つらいときには医療者に伝えましょう。

 食欲不振や口内炎、脱毛、便秘などの副作用については、対処法を知っておくと、ある程度つらさが軽減できる場合があります(図表11)。

 副作用には、自分で対処でき、ある程度我慢してよいものと、速やかに受診する方がよいものがあります。出やすい副作用の対処法と、重い副作用が出たときの連絡先などを担当医や薬剤師などに確認しておきましょう。

原発性マクログロブリン血症の治療で現れる主な副作用の対処法

参考資料

もっと知ってほしい原発性マクログロブリン血症のこと 2025年版, p.15-17

BOOKLET原発性マクログロブリン血症に関する冊子