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Patient’s Voice ~すい臓がん患者さんの声~

Patient’s Voice ~すい臓がん患者さんの声~

すい臓がん体験をされた方が、診断時・治療中や治療後に何を思っていたのか、ご自身の体験を語っていただいた情報を掲載しています。

Patient’s Voice ~患者さんの声①~

担当医とよく話し、自分が納得できる治療法を選択

 前日まで普通に仕事をしていましたが、その日は気持ちが悪くて何も食べられず、変な汗もかくので、これはおかしいと思い、受診しました。診断は、ステージⅡAのすい臓がんでした。当時、53歳で、子ども2人がまだ学生で、学費が必要でした。だから、「なんとしても家族のためにがんばりたい」と思いました。
 治療法については迷いましたが、どれが一番よいかはその時点ではわからないもの。結果論ですよね。私は担当医に治療法の選択を任せるのではなく、納得できるまで話して自分が一番よいと思うものを選びました。だから自分が選んだ治療を信じて進むのみでした。
 術後半年で肝臓への転移がみつかり、ラジオ波治療も経験しました。それから12年、担当医からは「卒業」と言われました。助かった命に感謝して、今は同じ病気の人のサポートをしながら元気に過ごしています。
(65歳男性・診断から13年目)

Patient’s Voice ~患者さんの声②~

大事なのは自己管理。血糖値を維持するため食事と運動も

 定期的に内科を受診していて、偶然受けた超音波検査でステージⅡBのすい臓がんがみつかりました。すぐに膵体尾部切除術を行い、膵尾部を2/3程度、脾臓は全摘出しました。
 術後の経過は安定していましたが、半月が経ったころから体内に膿がたまり、高熱が1か月ほど続きました。看護師さんが夜間でも肌着や氷枕を取り替えてくれ、献身的にサポートしてくれたのがありがたかったです。
 私は入院中、体の状況や変化、気になることをノートに記録し、翌朝の回診で担当医に伝えて対応してもらっていました。
 記録は退院後も続け、体調の変化や体温、体重などを記し、受診の際に担当医にみせていました。正確な体の情報を医師に伝えることで、抗がん剤治療中など、何かあったときに判断してもらいやすくなります。
 さらに栄養士さんから指導を受けて、カロリーと血糖値の関連を勉強して栄養管理も徹底的に行いました。
 今は、残ったすい臓で血糖値を現状維持できるよう、日々の食事と運動に誠心誠意努めています。
(71歳男性・診断から8年目)

すい臓がん患者さんの声1
Patient’s Voice ~患者さんの声③~

副作用で各科を受診しながら、3年以上の抗がん剤治療を継続

 4年前、すい臓がんがみつかり、膵頭十二指腸切除術を受けました。
 術後、再発予防のために点滴での抗がん剤治療を半年ほど行いました。
 その後のCT検査で肺への転移がわかり、再発治療として3年ほど、抗がん剤の内服治療を続けています。
 副作用で体がだるくて、気持ち悪かったり、手足の皮がむけたりしました。なかでもつらかったのは、唇にできものができて、どんどんひどくなったこと。あとは、涙道が閉塞し、いつも目に涙がたまった状態で、まるで、雨が降っているときにガラス窓から外をみているような感じで、視力が落ちていきました。
 皮膚科や眼科の医師に相談して、塗り薬を処方してもらったり、目薬を1日に6回以上さしたりという対症療法を教えてもらい、副作用が緩和されました。きちんと専門医にみてもらい、自分の症状にあったアドバイスがもらえたことがよかったです。
 病院には、いつも夫が付き添ってくれます。近所においしい店をみつけて一緒に出かけるなど、楽しみながら通院しています。
(66歳女性・診断から5年目)

Patient’s Voice ~患者さんの声④~

術後の体力回復は10歩のウォーキングから!余命6か月の宣告から8年が経ちました

 ステージⅡAのすい臓がんがみつかり、最初の病院では手術不能で余命6か月と宣告されました。その後、転院して、膵頭十二指腸切除を受けました。門脈も切除し、足の血管でグラフト再建したので、17時間ほどの大手術でした。
 術後の体は本当につらく、顔はむくみ、足はゾウのよう。腹水や胸水もたまって、横になるとゴロゴロと音が聞こえるほどでした。ご飯も食べられず栄養不良にも。
 これではいけないと思い、しんどい体を引きずって、ウォーキングを始めました。最初は10歩で精一杯。そのうち100歩、200歩と歩けるようになり、徐々に体が回復していきました。
 あれから8年。友人には「本当にすい臓がん?」と驚かれるほど元気に暮らしています。
 告知されたとき、「息子の結婚式に出たい」「孫の顔がみたい」と強く思ったのですが、その夢は2つとも叶いました。
(68歳女性・診断から8年目)

Patient’s Voice ~患者さんの声⑤~

手術不能でしたが取れるだけのがんを切除
後期高齢者医療制度を利用して7年間治療中

 くも膜下出血を経験し、1年に1回精密検査を受けていました。あるとき、超音波検査で3cmほどのすい臓がんがみつかり、余命2年と告知されました。「毎年検査を受けていたのになぜ……」と、大きなショックを受けました。
 CT検査の結果、がん細胞のそばに血管があり手術不能だと。それでも手術を希望し、取れるだけがん細胞を切除しました。それ以降、約7年間、半月に一度の抗がん剤治療を続けています。1年前からは、抗がん剤の内服も始めました。
 月に2度ほど通院しますが、診察室に入ると担当医が「気分はどうですか」と聞きながら、最初に私の顔をじっとみて、顔色や黄疸が出ていないかをチェックしてくれます。それがうれしくて、とても安心できるので、病院にはノーメークで通っています。
 1日でも長く生きたいので、今後も希望を持ってがんばりたいです。後期高齢者医療制度で、治療費が1割負担で済むのが、年金暮らしなので助かっています。
(85歳女性・診断から8年目)

参考資料

もっと知ってほしいすい臓がんのこと 2023年版,pp.6,8,10,16,17

公開日:2022年1月21日 最終更新日:2023年2月15日

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