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すい臓がんの痛み、黄疸、栄養障害改善

Q.痛みや黄疸、栄養障害を改善する方法はありますか

A.黄疸が出ているときには胆道ドレナージやステント留置術で胆汁の流れをスムーズにします。また、がんで十二指腸が塞がり、食事がとれなくなっているときにもステントを使って食物の通過障害を改善します。


 すい臓がんでは、診断時に痛みがある人も少なくありません。痛みがあるときには、手術前や薬物療法中であっても、解熱鎮痛薬や医療用麻薬のオピオイド鎮痛薬を服用して軽減します。腹部が重苦しいという症状にも、医療用麻薬や麻酔薬を用いた神経ブロックが有効な場合があります。精神面のケアを含めた痛みのコントロールを早期から行ったほうが治療成績がよいという報告もあります。

 また、がんによって胆管が塞がり胆汁が滞ることで眼球や皮膚が黄色くなる黄疸が起こっているときには、減黄療法を行います。減黄療法は、手術や薬物療法などの、がんの治療を進めるうえで重要ですし、患者さんの生活の質(QOL)の改善にもつながります。

 減黄療法には、口から十二指腸まで内視鏡を挿入して行う内視鏡的胆道ドレナージ(ERBD)と、体の外から皮膚、肝臓に針を刺して胆管を広げる経皮経肝胆管ドレナージ(PTBD)があります。手術以外の治療を受ける人は、多くの場合、内視鏡を使って金属ステントを胆管に埋め込むステント留置術で腸管か体の外へ胆汁を排出させます。

 すい臓がんによって十二指腸や胃が閉塞して食事がとれなくなっているときには、内視鏡を使って胃や十二指腸へ金属ステントを挿入し、狭くなっている部分を広げる場合もあります(消化管ステント留置術)。手術時、十二指腸の閉塞が予測される場合には、胃と空腸をつなげて食物が通過するようにするバイパス手術(療法)を行うこともあります。

 進行したすい臓がんではしばしば、体重減少と食欲不振を引き起こす悪液質と呼ばれる合併症が起こります。この悪液質の治療として、食欲の調節を司るホルモンであるグレリンに作用する内服薬のアナモレリンが使われることもあります。すい臓がんの治療のためには、バランスよく栄養をとり、体を動かして、体重と体力、筋力をできるだけ維持することが重要になります。

 すい臓が機能せず、消化不良(下痢)や高血糖になる場合、必要に応じて膵消化酵素インスリンの投与を受けることは、体力を維持し、抗がん剤の副作用をやわらげ、治療効果を上げるためにも大切です。

代替医療・民間療法の有効性は?

  患者さんのなかには、標準治療を受けずに、代替医療や民間療法を選ぶ人がいますが、すい臓がんに関して科学的に有効性が証明されたものはありません。抗がん薬との併用が有害な健康食品もありますので、使う前に担当医に相談しましょう。

参考資料

もっと知ってほしいすい臓がんのこと 2023年版,pp.17

公開日:2022年1月21日 最終更新日:2023年2月15日

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