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卵巣がんの再発・転移

Q.再発・転移とは、どのような状態になることですか

A.再発とは、治療により肉眼、あるいは画像で確認できる大きさのがんがなくなった後、再びがんが出現することです。
 転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗ってほかの臓器に移動し、そこで広がることをいいます。


 手術や薬物療法を行い、肉眼、あるいは画像で確認できる大きさのがんが消えて治ったように見えても、再びがんが現れる再発の危険性があります。治療が終了しても経過観察(図表11)が必要で、再発しやすい2年以内は1~3か月程度の短い間隔で行われます。

 再発・転移した状態になると、治療の目的は完全に治すことから、症状をできるだけ緩和しながら、がんと付き合うことに変わってきます。再発した場合は、薬物療法を行うことになりますが、その効果は初回薬物療法よりも持続期間が短くなることが多く、副作用も強く出る傾向があります。

 腹部などに痛みがあるときやつらいとき、不安、不快な症状があるときは我慢せずに、担当医や看護師などに伝えましょう。治療によって再発後も長期生存している患者さんもいます。また、より効果のある新しい治療法の開発をめざした臨床試験が婦人科悪性腫瘍研究機構や日本臨床腫瘍研究グループを中心に行われていますので、各臨床試験の参加条件を満たせば、開発中の治療を受けることもできます。

経過観察中に行われる検査
臨床試験とは?

 新薬や治療法を開発するために、人間を対象に有効性と安全性を科学的に調べるのが「臨床試験」です。臨床試験には第1相:安全性の確認、第2相:有効性・安全性の確認、第3相:標準治療との比較による有効性・安全性の総合評価の3段階があります。現在の標準治療も過去の臨床試験で有効性や安全性が認められたものです。卵巣がんの分野でも、現在の標準治療より、さらに効果と安全性の高い治療法の確立をめざして複数の臨床試験が行われています。臨床試験への参加は未来の患者さんに貢献することにもつながっています。

参考資料

もっと知ってほしい卵巣がんのこと 2021年版,pp.15

公開日:2022年1月21日 最終更新日:2022年1月21日

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卵巣がんの再発・転移に関する冊子