再発卵巣がんの薬物療法
Q.再発がんには、どのような薬物療法が行われますか
A.再発した卵巣がんの治療には薬物療法が推奨されています。
治療法は初回治療終了から再発までの期間が6か月未満か6か月以上かによって違ってきます。
再発した卵巣がんの治療には薬物療法が推奨されています。治療法は、初回薬物療法終了から再発するまでの期間によって違います(図表12)。
この期間が6か月以上ある場合は、抗がん剤が効きやすいとみなされ、プラチナ製剤(カルボプラチンなど)を含む複数の薬剤を使った多剤併用療法が勧められています。
具体的には、TC療法、あるいはTC療法とベバシズマブの併用療法などです。
TC療法の副作用が非常に強く出現したり、初回薬物療法の後遺症(手のしびれなど)が強く残っていたりする場合は、抗がん剤の量を減らす、あるいはほかの療法(DC療法など)に変更するなどの対応が行われます。
また、3回以上の抗がん剤治療を経た後、HRD検査で相同組み換え修復欠損があるとわかった場合にはPARP阻害薬のニラパリブも使用されます。
なお、ニラパリブと、同じPARP阻害薬のオラパリブは、再発後に抗がん剤での治療が奏功して、かつ相同組み換え修復欠損がある患者さんには維持療法として使われることもあります(コラム「卵巣がんの維持療法」)。
一方、初回薬物療法が終了してから再発するまでの期間が6か月未満の場合は抗がん剤が効きにくいことが予測されます。多剤併用療法を行うと副作用が強くなる傾向があるため、1種類の薬剤による単剤療法が勧められています。
候補となる薬剤は図表12に示したようにイリノテカン、ゲムシタビンなど数種類があります。
再発後の薬物療法をいつまで続けるかは薬の効果、患者さんの年齢、心身の状態、副作用の出方などによって変わってきます。
参考資料
もっと知ってほしい卵巣がんのこと 2021年版,pp.16