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卵巣がんとは

Q.卵巣がんとはどのような病気ですか

A.一般に「卵巣がん」といわれるのは卵巣の表面を覆っている表層上皮に発生するがんで、初期の段階では症状がほとんどないのが特徴です。


●腫瘍ができた部位によって分類される

 卵巣は、女性の骨盤内にある親指大ほどの大きさの臓器です。子宮の両側(左右)に一つずつあり、子宮体部の靱帯に支えられています(図表1)。
 卵巣は卵管によって子宮とつながっています。卵管には卵巣から排卵された卵子を捉えて子宮に運ぶ役割があります。受精の際には卵巣から排卵された卵子がこの卵管で精子と出会い、受精卵となって子宮に着床します。
 また、子宮や卵巣、胃、腸、肝臓など横隔膜よりも下にある臓器の全体が腹膜に覆われています。
 卵巣がんは、卵管や腹膜で発生したがんと性質が似ており、近年、これらのがんは一つにまとめて取り扱われるようになっています。卵巣がんの治療や診断の基準となる、日本婦人科腫瘍学会が発行するガイドラインの名称も、2015年版では「卵巣がん治療ガイドライン」であったのが、次の2020年版では「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン」に変更されました。
 卵巣には多種多様の腫瘍が発生します。卵巣腫瘍は、腫瘍ができる場所によって、主に①上皮性腫瘍、②性索間質性腫瘍、③胚細胞腫瘍の3つに分類されます。さらに腫瘍は①良性、②境界悪性(良性と悪性の中間)、③悪性に分けられます。
 最も多く発生するのが上皮性腫瘍で、悪性の卵巣腫瘍のうち約90%がこのタイプです。一般に「卵巣がん」といえば、上皮性の悪性腫瘍のことをいいます。進行すれば「おなかが張る」「最近太った」という訴えがみられるものの、初期は自覚症状がほとんどないため、早期発見しにくいがんです。

卵巣がある場所(骨盤内)

●組織型によって性質や治療が異なる

 卵巣がんは「組織型」(がん細胞組織のタイプ)によっても分類されます。ほとんどは腺がんといわれるタイプで、漿液性がん、類内膜がん、粘液性がん、明細胞がん、その他のがんに分けられます(図表2)。
 卵巣がんで最も頻度が高い漿液性がんは、細胞の形態によって高異型度漿液性がん(最も悪性度の高いがん)と低異型度漿液性がん(最も悪性度の低いがん)に分けられます。高異型度漿液性がんの多くはまず卵管にがんが発生して、卵巣に広がったものであると考えられています。
 また、腹膜がんもほとんどが高異型度漿液性がんで、卵管や卵巣が原発と考えられる例が多いことがわかってきました。このため、腹膜がんは高異型度漿液性がんに準じて治療が行われます。
 明細胞がんや類内膜がんは、卵巣子宮内膜症を母体として発生しやすいことが明らかになっています。
 このように、一口に卵巣がんといっても多くの組織型があります。例えば、高異型度漿液性がんは抗がん剤が効きやすく、低異型度漿液性がんや明細胞がん、粘液性がんは効きにくいなど、同じ卵巣がんでも組織型により抗がん剤などの効き方が違ってきます。治療を進めるうえで、自分のがんがどの組織型なのかを知ることが重要です。
 なお、卵巣がんの約10%には遺伝的要因が強く関連しています。親から子に伝わるBRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子の病的バリアントがあると卵巣がんや乳がんが起こりやすくなるのです(遺伝性乳がん卵巣がん:HBOC)。
 また、卵巣がんでは、多くのがん種で見られる相同組み換え修復欠損(HRD)の割合が高いとされ、近年注目されています。HRDとはDNAにできた傷を修復する仕組みの一つで、治療薬の選択のために検査されることがあります。

卵巣がんの組織型による発生頻度
セカンドオピニオンとは?

 担当医から説明された診断や治療方針に納得がいかないとき、さらに情報がほしいときには、別の医師に意見を求める「セカンドオピニオン」を利用する方法があります。セカンドオピニオンを受けたいときは、担当医に紹介状や検査記録、画像データなどを用意してもらう必要があります。利用にあたっては担当医のファーストオピニオンをまずはしっかり聞くこと、セカンドオピニオンの内容は担当医に伝え、もう一度治療方針についてよく話し合うことが大切です。
 セカンドオピニオン外来のある病院の情報は、近隣のがん診療連携拠点病院の相談支援センターで得られます。予約が必要で有料の病院が多いので、セカンドオピニオンを受ける病院には事前に受診方法と費用を確認しましょう。

参考資料

もっと知ってほしい卵巣がんのこと 2021年版,pp.4-5

公開日:2022年1月21日 最終更新日:2022年1月21日

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