NPO法人キャンサーネットジャパン > がん情報 > 前立腺がん > 前立腺がんとは

前立腺がんとは

Q.前立腺がんとはどのような病気ですか

A.精液の一部をつくる男性生殖器である「前立腺」に発生するがんです。
 近年急増しており、男性では罹患者数が第3位のがんになると予想されています。


 前立腺は男性生殖器の一部で、膀胱のすぐ下にある栗の実の形をした臓器です(図表1)。尿道を取り囲むように位置しており、ここで精液の一部がつくられます。この前立腺に発生する悪性腫瘍が前立腺がんです(図表2)。

前立腺の位置
前立腺がんと前立腺肥大症の違い

 世界全体でみると、前立腺がんは男性のがんの14.8%を占めています(2012年)。罹患率は、すべてのがんのなかで2番目です。もともと欧米諸国に特に多く、それに比べるとアジア諸国の罹患率はかなり低かったのですが、最近は日本でも急増してきました。2017年の国立がん研究センターの男性のがん罹患者数予測では、胃、肺に続いて第3位になると予想されています。

 前立腺がんは加齢に伴って罹患率が上昇し、70代後半から80代前半が発症のピークです。そのため、典型的な高齢者のがんといわれます。しかし、最近は50代の患者が増え、まれに30代や40代での発症もみられます。

 罹患率上昇の原因としては高齢化の進行とともに食習慣の欧米化が挙げられます。特に若年患者の増加は食事との関連性が高いと考えられています。また、前立腺がんの発症、特に若年での発症には家族歴も関連します。父親か兄弟の1人が前立腺がんである場合、罹患率は2倍に、祖父やおじまで含めた近親者のうち2人が前立腺がんに罹患していれば、罹患率は4倍になるといわれています。高いリスクを有する人は、若いときから検診を受けることが勧められています。

 ほかの多くのがんと同じく、前立腺がんも早期には目立った症状はありません。そのため発見が遅れがちでしたが、簡単で精度の高いPSA検査が開発され、最近はごく早い段階で発見されるようになりました。早期に発見すれば、前立腺がんは根治が可能です。

予防とサバイバルのための「栄養」

 米国では、前立腺がんは男性のがんのなかで罹患率は第1位、死亡率も第2位です。それに比べると日本は罹患率・死亡率ともに低いのですが、日系アメリカ人は1世、2世、3世と世代を経るにつれて、前立腺がんの罹患率が高まるという研究データがあります。
 欧米風の食事は、動物性脂肪を大量に摂取するのが特徴です。そういった食事(例えばフライドチキンなど)を好む人は、前立腺がんの発症リスクが高まるだけでなく、予後も芳しくないことがすでにわかっています。
 野菜と果物を多く摂取すると、前立腺がんのリスクを下げることが知られています。また、ポリフェノールを含む食品(豆腐など大豆製品)と、アブラナ科の野菜(白菜、キャベツ、ブロッコリー、小松菜など)には前立腺がんの予防効果が期待されています。

参考資料

もっと知ってほしい前立腺がんのこと 2018年版,pp.4

公開日:2022年1月21日 最終更新日:2022年1月21日

BOOKLET前立腺がんとはに関する冊子