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胃がんの病期(ステージ)と治療方針

Q.胃がんの病期(ステージ)と治療方針について教えてください

A.胃がんの治療方針は、がんの病期(ステージ)によって決まります。治療前の診 断に基づく臨床的ステージと、治療後の病理検査に基づく病理的ステージがあり、治療方針は臨床的ステージに応じて選択されます。


治療方針を決める臨床的ステージ

 胃がんの治療を決めるうえで重要なのが、ステージ分類です。

 胃がんのステージには、治療前の検査に基づく臨床的ステージと、治療後の病理検査に基づく病理的ステージがあり、治療方針は臨床的ステージに基づいて決められます。

 臨床的ステージ(図表4、頭にcを付けて表示)は、「がんの深さ(T)」「リンパ節転移の程度(N)」「遠隔転移の有無(M)」の3項目によって決まります。医学的には「TNM分類」と呼びます。

 「がんの深さ(深達度)」は、T1a〜T4b の6段階に分けられます(図表3)。粘膜層や 粘膜下層にとどまっているT1a、T1bのがんを早期胃がん、それよりも深いT2~T4bのがんを進行胃がんと呼びます(T4bはほかの臓器に浸潤)。

 「リンパ節転移の程度」は、 転移の「なし(NO)」「あり(N+)」で分類されます。転移がある場合は、胃の近くにあるリンパ節(領域リンパ節)への転移にとどまっているか、胃から離れたリンパ節にまで及んでいるかで分類されます。離れたリンパ節への転移は「遠隔転移」として扱われます。

 遠隔転移には、この遠隔リンパ節転移のほかに、血行性転移と腹膜播種性転移があります。血行性転移とは、がん細胞が血流に乗って肝臓や肺、脳などに転移することです。一方、腹膜播種性転移とは、がんが胃の壁を貫いて胃の外側に露出し、そこからがん細胞が腹腔内に散布され、腹膜に腫瘍を形成したものです。

 がんの深さと転移には深い関係があります。がんが粘膜層にとどまっていればリンパ節転移の可能性は低いのですが、粘膜下層や固有筋層まで達している場合はリンパ節転移のリスクが高まります。血行性転移や腹膜播種性転移もやはり、がんの深さに比例して起こりやすくなります。

 以上の3項目から、臨床的ステージ(Ⅰ期〜ⅣB期の6段階に分類)が判定され、それに従って最終的な治療方針が決定されます。その具体的なアルゴリズムを示したのが図表6です。

 このような治療方針は日本胃癌学会が作成した『胃癌治療ガイドライン』によって、標準化されています。この標準治療は国内外の臨床試験の結果をもとに科学的に検証され、現時点では最も効果があり、安全性が高い治療法です。

 ステージⅠではがんが粘膜層(cT1a)にとどまり、「胃がんの内視鏡治療」ページに記載されている条件を満たしている場合は内視鏡治療の対象となります。そのほかのステージⅠとステージⅡ、Ⅲ、ⅣAでは手術が選択されます。

 手術は、胃の3分の2以上と一定範囲のリンパ節を切除する定型手術と、それ以外の非定型手術に大別されます。非定型手術には、拡大手術と縮小手術があり、ステージに従って選択されます(「胃がんの手術療法」ページ参照)。ステージⅣBでも遠隔転移が限定的であれば、手術(通常は薬物療法の後に)が考慮されますが、そのほかの遠隔転移や、治療後に再発したがんについては薬物療法が基本となります(「胃がんの切除不能がん、再発がんの治療」ページ参照)。

胃がんの深達度
臨床的(C)ステージ
胃がんの標準的な治療方針

手術後の治療を決める病理学的ステージ

 手術後の病理検査に基づいて判定される病理学的ステージ(図表5、頭にpを付けて表示)によって、予後の診断や手術後の治療が決定されます。ⅠAからⅣまでの8段階に分類されますが、臨床的ステージと異なるのは、領域リンパ節への転移の個数によって、N0(なし)、N1(1〜2個)、N2(3〜6個)、N3a(7〜15個)、N3b(16個以上)とステージが細分化されていることです。

 ステージⅠは経過観察、ステージⅡ、Ⅲは再発予防のために補助薬物療法、ステージⅣは薬物療法や対症療法が標準治療とされています。

 ここに挙げたのは、あくまでも標準的な治療方針です。患者さん自身が、それぞれの治療の選択肢のメリットとデメリットをよく理解し、わからないことは医療スタッフから説明を受けるとともに、自身の価値観や優先したいことを明確に伝え、双方で話し合って最適な治療方針を決めるのが理想的です。これを協働意思決定(シェアード・ディシジョン・メイキング Shared Decision Making : SDM)と言います。

 胃がんの治療においても、ステージ判定に基づく治療方針を理解し、「自分にとって最適な治療」を選択してください。

病理学的(p)ステージ
セカンドオピニオンとは?

 診断や治療方針について、担当医の説明をよく理解したうえで、ほかの選択肢について知りたいときや、さらに情報がほしいときには、別の医師に意見を求める「セカンドオピニオン」を利用する方法があります。セカンドオピニオンを受けたいときには、担当医に紹介状や検査記録、画像データなどを用意してもらう必要があります。利用にあたっては担当医のファーストオピニオンをまずはしっかり聞くこと、セカンドオピニオンで得た内容を担当医に伝え、もう一度治療方針についてよく話し合うことが大切です。

 セカンドオピニオン外来を設けている病院の情報は、近隣のがん診療連携拠点病院の相談支援センターで得られます。予約が必要、あるいは有料の病院が多いので、セカンドオピニオンを受ける病院には事前に受診方法と費用を確認しましょう。

参考資料

もっと知ってほしい胃がんのこと 2026年版,p.6-8

公開日:2026年2月27日 最終更新日:2026年2月27日

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