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胃がんの手術後の食生活

Q.手術後の食生活にはどのような影響がありますか

A.胃を切除すると胃の機能が損なわれるため、ダンピング症候群と呼ばれる不快な症状が起こるほか、体重減少も避けられません。
しかし、食事に特に注意するのは手術後3か月ほどで、それ以降は体が新しい状況に慣れてくるので心配いりません。


胃切除後3か月は食事に注意する

 内視鏡治療の場合は胃の機能を損なわないため、治療前と同じように食事をとることができます。しかし、胃を切除した場合は、術後約3か月は食事に注意しましょう。まず、腸などの消化器に負担をかけないよう少しずつ食べ、朝昼晩3回+間食2回の1日5食を基本とします。ダンピング症候群の予防のため、2時間ごとに食べ物をとるのが望ましく、食事の間隔が長くなる場合は午後2回の間食を入れるとよいでしょう。また、白身魚や豆腐、卵など消化のよい食べ物(図表9)を選び、細かく刻んだり軟らかく調理したりして食べることをおすすめします。注意したい食べ物は図表9を参考にしてください。

術後3か月の食べ物のポイント

食べ方を工夫しダンピング症候群を防ぐ

 胃を切除すると、食べ物を撹拌し一時的に溜めて少しずつ腸に排出するという胃の機能が損なわれるため「ダンピング症候群」が起こります。これには早期と後期があります。こなれていない食べ物がすぐに腸に送られると、消化を助けようとして消化管ホルモンが過剰に分泌されます。そのため、大量の血液が腸に集まり、全身をめぐる血液が一時的に不足し、血圧の低下やめまい、動悸、脱力感、冷や汗などをきたします。これが食後30分以内に起こる「早期ダンピング症候群」の主な症状です。また、腸に送られた食べ物は、胃でかゆ状になったものに比べて塩分や糖分が濃いため、浸透圧によって腸の毛細血管の水分が腸管に移動し、薄い腸液が大量に分泌されて腹痛や下痢を引き起こします。
 早期ダンピング症候群は、十分にこなれた食べ物を少しずつ腸に送ることで予防できるので、食事はよく噛んでゆっくり食べましょう。また、水分によって食べ物が一気に腸に流し込まれないように、食事中の水分はできるだけ控えます。
 また、食べ物が短時間で吸収されると、一過性の高血糖状態になります。これに対応するために大量のインスリンが分泌され、今度は低血糖状態を招きます。これが「後期ダンピング症候群」といわれるもので、食後2~3時間経過してから起こります。主な症状は脱力感や倦怠感、頭痛、眠気などで、ひどいときは意識を失うこともあります。術後疲労を訴える人の多くは低血糖が原因です。
  後期ダンピング症候群は、単純炭水化物(ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、オリゴ糖など)を短時間で大量に摂取すると起こしやすいことがわかっています。甘いジュースを一息に飲むようなことはやめましょう。また、低血糖状態にならないように食後2時間をめどに間食で糖分(菓子や果物など)や炭水化物(餅や麺類など)を補給します。

ダンピング症候群を予防する食べ方

体重減少の予防に栄養補助食品も利用

  胃を切除すると、胃から分泌されていた食欲を調整するホルモン量が激減し、食欲が低下します。そのため、術後の体重減少は避けられません。手術前後に管理しても、1~3か月の間に胃全摘術で全体重の15~20%、胃の一部を残す幽門側胃切除術でも7~10%の体重減少が起こるといわれています。
 胃切除後に食が進まないときは栄養補助食品を使うのも有効です。EPA(エイコサペンタエン酸=不飽和脂肪酸の一種)入りの栄養補助食品を術前から摂取すると、手術による侵襲を抑え体重減少を防ぐ効果が高まると期待されています。体重が減りすぎたときは担当医や栄養士に相談してみましょう。

ゆっくりあせらず元の生活に戻していく

  手術後3か月を過ぎると体重もほぼ安定し腸も順応してくるので、嗜好品や揚げ物なども少しずつ口にしてかまいません。個人差はありますが、日が経つにつれて食べる量も増え、何でも食べられるようになりますので安心してください。困ったときは医師や看護師、栄養士などに相談し、自分なりの対処法を見つけながら、徐々に手術前の食生活に戻していきましょう。

参考資料

もっと知ってほしい胃がんのこと 2016年版,pp.12-13

公開日:2022年1月21日 最終更新日:2022年1月21日

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