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大腸がんの手術法

Q.どのような手術が行われ、術後の生活にどんな影響がありますか

A.大腸がんの手術の基本は、がんがある部分を含む腸管の切除とリンパ節郭清です。
最近では、腹腔鏡手術も増えています。結腸がんの手術では術後の生活にほとんど影響はありませんが、直腸がんの手術では、排便習慣の変化や排尿機能・性機能の障害などの後遺症が起こる場合があります。


大腸がんの手術の基本は、①がんのある部分から十分な“安全域”をとって大腸を切除し、②転移している可能性がある範囲のリンパ節を切除(リンパ節郭清)し、③残った腸管同士をつなぐ(吻合)の3つです(図表8)。手術は全身麻酔で行われ、手術時間は通常3~4時間程度です。術後の経過が順調であれば、入院期間は約2週間です。

大腸がんの手術の基本

●結腸がんの手術

 結腸がんの手術では、がんから口側・肛門側にそれぞれ約10cm離して大腸を切除します。さらに、がんが転移している可能性のある範囲のリンパ節を郭清し、その後、残った大腸同士をつなぎ合わせます。約20cmの大腸を切除しても、栄養の消化・吸収には影響はなく、ひどい下痢になることも通常ありません。標準的なリンパ節郭清を行った場合でも、身体への影響はほとんどありません。

●直腸がんの手術

 直腸がんの手術は、肛門を残す「括約筋温存手術(前方切除術)」と、肛門を残さない「直腸切断術(マイルズ手術)」の2つに大きく分けられます(図表9)。直腸切断術では、肛門の代わりとなる便の出口として人工肛門(ストーマ)を作ります。肛門の入口からがんまで約6cm離れていれば、原則として肛門を残すことができます。最近では手術技術が進歩し、より肛門に近いがんでも肛門を残せるようになりました。ただし、肛門が残っても、直腸の大部分が切除されると十分に便を溜められないために、便の回数が増えたり、排便を我慢できなくなったりします。また、骨盤内の直腸の周りにある泌尿器・生殖器の機能をつかさどる自律神経が手術でダメージを受けると、排尿や性機能が障害されることもあります。

直腸がんの手術

●腹腔鏡手術とは

 腹腔鏡手術とは、お腹に1cm程度の穴を4~5個開けて、そこから専用の筒状のカメラ(腹腔鏡)と専用の手術用具をお腹の中に入れて行う手術方法です。最近では、直腸がんに対して、手術用ロボットを用いた腹腔鏡手術も一部の施設で行われています。お腹の中で行われることは、通常の開腹手術と同じです。通常の開腹手術に比べて傷が小さくて済むため、手術後の痛みが少なく、身体の回復が早く、入院期間も短くて済むといった利点があります。一方で、高い技術を必要とし、開腹手術よりも手術時間が長い傾向があります。

●手術の合併症

 大腸がんの手術では、以下のような合併症が起こることがあります。

縫合不全

 縫い合わせた腸がうまくつながらず、そのため、縫い目のほころびから便がお腹の中に漏れ出ること。結腸がんの手術では約1.5%、直腸がんの手術では約5%に起こるとされています。

腸閉塞(イレウス)

 手術の影響で腸がうまく働かず、便の通りが悪くなった状態のこと。

創感染

 手術したお腹の表面の傷が化膿すること。大腸がんの手術では約10%に起こります。

●手術後の生活について

 大腸がんの手術後は、運動や食事に特別な制限はありません。適度に身体を動かし、「ゆっくり、よく噛んで、腹八分目」を心がけましょう。直腸がんの手術後に起こる排便・排尿機能障害は手術後半年~1年かけて、ある程度まで徐々に改善してきます。薬や生活パターンの工夫でこれらの症状と上手に付き合っていきましょう。

人工肛門に関する相談は「ストーマ外来」へ

 人工肛門(ストーマ)とは、腸の一部をお腹の外(皮膚)に出して、肛門に代わる便の出口としたものです。1~2cmほど皮膚から腸が突き出た形になります。ここにパウチ(袋)を付けて排便を管理
します(図表9)。人工肛門のある人のことを「オストメイト」と呼びます。人工肛門になっても日常生活の制限はほとんどなく、手術前とほぼ同様の生活が可能です。また、身体障害者手帳を取得でき、装具の給付や税の控除などの福祉サービスが受けられます。
 人工肛門に関する悩みやトラブルがあるときは、「ストーマ外来」や「日本オストミー協会」(http://www.joa-net.org/)に相談してみましょう。「日本創傷・オストミー・失禁管理学会」のホームページ(http://www.jwocm.org/public/stoma/)ではストーマ外来のリストが公開されています。

参考資料

もっと知ってほしい大腸がんのこと 2021年版,pp.12-13

公開日:2022年1月21日 最終更新日:2022年1月21日

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