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小児脳腫瘍の子どもとサポートするあなたに伝えたいこと

子どもに病気のことを伝える

 これから自分が体験すること、体や心に起きる変化に適応していくためにも、たとえ小さなお子さんでも、病気のことを伝えることはとても大切です。
 子どもに病気のことを伝える時には、子どもの年齢、性格、理解度に応じた説明が必要になります。とりわけ脳腫瘍は頭の病気なのに違う場所が動かなくなることもあるため、子どもにとっては理解が難しいことがあります。伝える側は、頭の中をどんなふうに説明したら、目の前のお子さんがわかりやすいかということを意識して伝えていくことも大事でしょう。たとえばまだ幼いお子さんに説明をする時には、「頭の中(脳)にはこういう機能があって、信号を伝えて手が動いたり、しゃべったり、食べたりができるんだけれど、病気が邪魔をして、信号がうまく伝わらなかったり、形が変わってしまったり、止まってしまったりするから、今こういう症状が出ているんだよ」というようにかみ砕いて話します。その時に、「あなたが悪いのではない」ということや「ここは難しいけれど、ここはできるよね。こんなふうにならできるよね」という事実をきちんと伝えて、「ここは難しいからイライラしたり悲しくなるのは当然だよね」と認めるような声かけをしながら、「でもここは変わらないよね」と一緒に確認していくことで、子どもの安心につなげます。
 子どもに病気のことを伝えるというと、自分たちが主治医から受けた予後も含めた説明をすべて伝えるように感じ、子どもには病気のことを伝えたくないと思う気持ちが芽生えてしまいがちですが、決してそうではありません。段階ごとに、「今」必要な情報を伝えていくことは、子どもが自分の置かれた状況を自分でコントロールし、適応していく助けになります。病気のことを伝える際には、イラストや写真、絵本なども、子どもの理解を促すのに役立ちます。
 また、病気の子ども本人だけでなく、きょうだいやお友だちなどに病気のことを伝える時も基本は同じです。すべての情報を伝えなくてはならないわけではなく、今必要な情報をわかりやすく、誤解や不安を生じさせるのではなく、それらを取り除けるように伝えていくことが、周囲の大人の大事な役割でしょう。もちろん、必ずしも保護者が伝えなくてはならないわけではありません。主治医や看護師、チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)がいる病院であればCLS、リハビリ職など医療チームの力を借りて、お子さんに適切な情報を伝えていきましょう。

小児脳腫瘍の適切な情報を得よう

 小児脳腫瘍という病気を理解する上で、正しい情報を得ることはとても大切なことです。下記に信頼のおけるサイトや情報をご紹介します。

小児脳腫瘍サイト情報

病気の子どもと家族のための宿泊施設やファミリーサポートを活用しよう

 小児脳腫瘍においては、居住する近くに診断・治療を受けられる病院があるとは限りません。時には、自宅から遠く離れた地域や県外での診断・治療も考えられます。病気の子どもとその家族が低額で滞在できるマクドナルドハウスやファミリーハウスといった宿泊施設もありますので、活用しましょう。幼いきょうだいがいる場合には、保育園の一時利用や自治体のファミリーサポートなどが利用できることもあります。

Specialist Interview
医療ソーシャルワーカー(MSW)Medical Social Worker

困った時の相談役、そして必要な職種や社会資源へのつなぎ役

 小児脳腫瘍を含めて、子どもが病気になった時に使えるさまざまな制度があります。しかしながら、これらの制度がどのように使えるのか、条件が自分の子どもにあてはまるのかどうかはわかりづらく、お住まいの地域によっても違いがあります。医療費などの制度は主治医からも説明があるかと思いますが、実際にどのように手続きをしたらよいか、どのように使えるのかなど具体的に知りたいこともあるかもしれません。そのような時には、ぜひ医療ソーシャルワーカーにご相談ください。
 医療費などの制度のことだけでなく、保育園、幼稚園、学校のこと、きょうだいのことなど、心配なことについてご相談に応じ、どのようにしたらよいかを一緒に考え、必要があればそれらを解決するために適切に対応してくれるところにつなぐのが私たちの仕事です。たとえば、きょうだいの保育が必要になった場合は、利用できる保育サービスを紹介し、療養生活を安心して送れるように環境を整えるお手伝いをします。
 退院して学校などへ復学する際には、学校に安心して戻れるように準備する橋渡し役をすることも大事な役割です。退院が見えてきたら、院内学級の先生と復学する学校の先生、主治医や関係する病院の専門職が集まり、復学する際の話し合いをします。この話し合いには患者本人が出席することもあります。主治医からは復学する際に学校側に気を付けていただきたいこと、活動制限の有無、感染症が流行った際の留意点などを伝えた上で、学校側からの質問に答えます。このような機会を持つことで、学校側も安心して受け入れることができるようになります。
 小児脳腫瘍では、治療による影響で後遺症が残ることもあります。医療ソーシャルワーカーは必要に応じて在宅で利用できる医療サービスを調整する役目も担っています。地域の中に小児に慣れている診療所や訪問看護ステーションはそう多くありませんが、病院でやっていたことを引き継いでもらえるように丁寧につなぐことを心がけています。病院でカンファレンスを行ったり、同じ職種同士で情報共有する機会を作ったりして、不安材料をできるだけ取り除き、その後も患者と家族を一緒に支えていけるようなチームを作るようにしています。最近では具合が悪くなっても、できる限り在宅で過ごしたいという患者家族の希望に対して、それを支える在宅医療体制を整えることも増えてきています。
 お子さんやご家族、それを支える医療スタッフの希望を聞きながら、それぞれの段階での最善を考え、必要なサポートにつないで生活を支えることが医療ソーシャルワーカーの役割です。何かに困った時、誰に相談したらよいかわからない時はいつでも医療ソーシャルワーカーに相談してください。
(医療ソーシャルワーカー 鈴木 彩)

お金・制度にまつわること

 子どもが小児脳腫瘍と診断された時、経済的な不安が生じることもあるでしょう。また、病気そのものや治療によって、長期にわたる合併症や後遺症、障害が起きることも考えられます。そんな時、利用できる制度があります。子ども一人ひとりの状況やお住まいの自治体によっても、使える制度や条件は異なりますので、個々に当てはまる制度については、主治医や医療ソーシャルワーカーに聞いてみましょう。

制度

小児慢性特定疾病の医療費助成

医療費負担が高額な、18歳未満の小児慢性特定疾病に対して、自己負担額を助成する制度です。各都道府県の指定都市・中核市に、指定の医療機関の指定医の医療意見書を添えて申請します。原則は18歳未満ですが、助成の対象となる疾病で、18歳以降も治療を継続する場合、20歳未満まで助成を継続できます。
窓口: お住まいの地域の保健福祉センター、保健センター、保健所など

特別児童扶養手当

20歳未満の心身に障害のある子どもを扶養する保護者が対象です。所得制限があり、手当の金額も障害の程度により異なります。お住まいの地域の窓口で必要書類を受け取り、主治医に診断書へ記載してもらい、提出します。
窓口:お住まいの市区町村の担当窓口

高額療養費制度

患者さんが標準治療を受ける際には、通常、公的医療保険が適用されます。公的医療保険には、年齢や収入に応じた上限が設けられており、自己負担額が軽減されます。加入する公的医療保険で、「限度額適用認定証」をもらい、医療機関に提出することで手続きが可能です。
窓口:加入している健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合、市区町村の国民健康保険など

障害児福祉手当

20歳未満で、重度の障害があり、日常生活で常に介護を必要とする人が対象です。特別児童扶養手当同様、所得制限があり、お住まいの地域の窓口で必要書類を受け取り、主治医に診断書へ記載してもらい、提出します。
窓口:お住まいの市区町村の担当窓口

自立支援医療制度

心身の障害を取り去ったり、軽減したりするための医療について、医療費の自己負担額を軽減する制度です。中でも、18歳未満の身体に障害のある子どもで、その障害を取り去ったり、軽減したりする治療の効果が確実に期待できる場合を対象とした制度を育成医療と言います。お住まいの地域の窓口で必要書類を提出すると、自己負担額が記載された医療券が発行されますが、所得制限があります。区市町村が直接指定医療機関・指定医師に委託し、そこで医療を受けます。
窓口:お住まいの市区町村の担当窓口

参考資料

もっと知ってほしい小児脳腫瘍のこと 2020年版,pp.15-18

公開日:2022年1月25日 最終更新日:2022年1月25日

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