慢性骨髄性白血病とは
Q.慢性骨髄性白血病(CML)とはどのような病気ですか
A.CMLは血液がんの一種で、BCR::ABL1遺伝子の出現によって発症します。自覚症状がない人も多いのですが、進行すると、発熱、貧血、出血しやすい、脾臓の腫れなどの症状が出ることがあります。
血液細胞は、骨の内側にある骨髄の中で、造血幹細胞と呼ばれる細胞から作られており、白血球、赤血球、血小板に分けられます(下記close-up参照)。慢性骨髄性白血病(Chronic Myeloid Leukemia:CML)は、リンパ球以外の白血球、赤血球、血小板のもととなる未成熟な血液細胞である骨髄系前駆細胞ががん化し、徐々に増殖して骨髄や血液中に広がる病気です。
白血病には、ゆっくり進む慢性白血病と、急激に白血病細胞が増殖して病気が進行する急性白血病があります(図表1)。CMLは慢性白血病の一種で、加齢とともに発症率が高まるものの、小児から高齢者まで各年代で発症します。CMLは周囲の人に感染したり、子孫に遺伝したりする心配はありません。
CMLは、正常な細胞にフィラデルフィア(Ph)染色体が出現し、染色体上のBCR::ABL1 遺伝子(※1)から産生された異常なたんぱく質BCR::ABL1(チロシンキナーゼ)ががん化した白血病細胞を増やすことで発症します(「CMLの引き金となるBCR::ABL1遺伝子」)。正常な細胞にフィラデルフィア染色体が出現する原因はわかっていません。
患者さんの85%(※2)は、健康診断などで白血球や血小板の増加が指摘され、ほとんど症状がない段階で発見されています。
この病気の初期である慢性期には白血球や血小板の増加がみられるだけで自覚症状がない場合が多いのですが、倦怠感、体重減少、胃潰瘍、皮膚のかゆみなどが生じる人もいます。病気が進行すると正常な血液細胞が作られなくなり、貧血になって息切れ、動悸が現れ、血小板減少による鼻や歯肉からの出血、倦怠感、発熱などの症状も出現します。脾臓が腫れて腹部に張りが出る人もいます。
CMLは慢性期の段階で、BCR::ABL1たんぱく質をターゲットにした薬物療法をしっ かり行い、病気の進行や症状の出現を防ぐことが重要です。
※1 以前は「BCR-ABL1遺伝子」と表記していましたが、本冊子では「造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版」と同じく、国際標準遺伝子記号に即した表記に統一しました。
※2 「造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版」
CMLの引き金となるBCR::ABL1遺伝子
ヒトの細胞の核の中には23対46本の染色体があり、男女共通の常染色体には1~22番まで番号がついています。フィラデルフィア染色体は9番と22番の染色体が途中で切れ、入れ替わって融合する「転座」を起こした異常な染色体です。切断面のBCR遺伝子とABL遺伝子が融合したBCR::ABL1遺伝子が形成され、BCR::ABL1たんぱく質が作られて、それが白血病細胞を無制限に増殖させます。CMLから 急性リンパ性白血病(ALL)になることはまれですが、ALLを発症させることもある遺伝子です。
参考資料
もっと知ってほしい慢性骨髄性白血病のこと 2023年版, p.4-5


