急性骨髄性白血病の分類
Q.急性骨髄性白血病(AML)の分類について教えてください
A.AMLでは白血病細胞が最初から全身に広がっているので、進行度を示す病期(ステージ)がありません。治療方針を決めるために、特定の遺伝子異常などによって病型(タイプ)を分けるWHO分類が用いられています。
AMLの病型(タイプ)の国際的な分類には、WHO(世界保健機関)分類(図表4)とFAB分類(French-American-British Classification)があります。
WHO分類は、予後に影響を与える特定の遺伝子異常や発症原因などによって分類する方法です。世界各国の白血病の専門家が集まって、この分類法を決めています。WHO分類第5版では、①特定の遺伝子異常で定義されるAML、②分化段階(細胞分化のどの段階で白血病細胞が増殖しているか)で定義されるAML、③骨髄肉腫の大きく3つに分けられています。
特定の遺伝子異常で定義されるAMLのうち、「PML::RARA 遺伝子があるAPL」は、 他のAMLとは異なる治療を行います(「急性骨髄性白血病の治療」参照)。APL以外のAMLにおいても、染色体・遺伝子異常の違いによって、抗がん剤が効きやすく再発リスクの低い予後良好群と比較的再発リスクが高い予後中間群・予後不良群があります(図表5)。自分のAML細胞の遺伝子と染色体の異常の有無や種類を知ることは、治療方針を決めるうえで重要です。
一方、FAB分類は、どのタイプの細胞ががん化したかを調べて分類する方法で、M0 ~M7まで8種類に分けられます。WHO分類では、APLであるM3、それからM2とM4の一部を「特定の遺伝子異常で定義されるAML」、M0~M2、M4~M7は「分化段階で定義されるAML」に分類しています。M3のAPL以外は、FAB分類によって大きく治療が異なることはありません。そのため、現在では、遺伝子異常などによって分けるWHO分類を用いることが多くなっています。
AMLの遺伝子検査
AMLの多くは遺伝子異常の有無や種類によって、抗がん剤がよく効き、予後が良好なタイプと、抗がん剤が効きにくく、予後が悪いタイプがあることがわかってきています(図表5)。
また、APLの治療では、白血病細胞を増殖させるPML::RARA 遺伝子に有効な分子標的薬のオールトランス型レチノイン酸(トレチノイン、ATRA)が使われています(「急性骨髄性白血病の治療」参照)。
日本では、キメラ遺伝子(融合遺伝子)やFLT3-ITD遺伝子変異およびNPM1遺伝子変異といった、AMLにおいて頻度の高い遺伝子異常の有無を調べる検査は保険適用となっています。
また、次世代シーケンサーで約450種類の遺伝子異常の有無を一度に解析する血液がん用の遺伝子パネル検査が、2024年9月に承認されました。近いうちにAMLでも遺伝子パネル検査の結果をもとに個々の患者さんに合った治療法を選択するゲノム医療が保険適用になる見込みです。
参考資料
もっと知ってほしい急性骨髄性白血病のこと 2024年版, p.7-8


