前立腺がんの病期と悪性度
Q.前立腺がんの病期や悪性度について教えてください
A. 前立腺がんは、病期(がんがどこまで広がっているか)と悪性度(がんがどのくらい攻撃的な性質を持っているか)によって分類されます。どちらもがんの進行のしやすさ(リスク)を推測するための大切な情報です。
病期は主にTNM分類で判断される
前立腺がんの病期は、TNM分類に基づいて判断されるのが一般的です(図表4)。T(tumor)は「がんが前立腺のなかにとどまっているか、それとも周囲の組織や臓器にまで広がっているか」、N(nodes)は「リンパ節転移があるかどうか」、M(metastasis)は「離れた組織や臓器への転移があるかどうか」を表します。例えば「T2 N0 M0」なら、「がんは前立腺の中にとどまっており、リンパ節転移も遠隔転移もない」という意味です。
悪性度の指標であるグリーソンスコア
治療方法を決めるときには、病期だけでなく、悪性度も非常に大切な情報です。
前立腺がんでは、悪性度の異なるがん細胞が存在することがあります(「前立腺がんの検査と診断」参照)。悪性度を評価するための指標として、グリーソン分類が知られています。この分類は、前立腺がんの組織は正常な組織に近いものから正常な組織からかけ離れたものまで存在することを踏まえたものです。実際の評価では、生検で採取した組織を顕微鏡で観察し、正常な組織に近いパターンを1点として、正常な組織からかけ離れるほど点数を増やして最大5点とします。面積が最も大きいがんの組織のパターン(点数)と2番目に大きいがんの組織のパターンを合計した点数をグリーソンスコアといい、最低2点、最高10点となります(図表5)。
このグリーソンスコアに基づき、前立腺がんは5つのグレードグループ(分類)に分けられ、1は悪性度が低く、おとなしいがん、5は悪性度が高く、進行の速いがんと判定します(図表6)。
また、前立腺がんは多様な経過をたどるため、TNM分類、グリーソンスコア、PSA値などを組み合わせて再発の可能性や予後などを推測するリスク分類も何種類か考案され(図表7)、臨床の場で参考にされています。

自分のがんの悪性度を知ることが第一歩
前立腺がんには、進行がとても緩やかで、生命に影響しないタイプも少なくありません。その証拠に、がん以外の原因で亡くなった高齢男性を詳しく調べると、 70歳を超えた人の20~30%、80歳を超えた人の30~40%で本人も気づかなかった「隠れたがん(ラテントがん)」が見つかるといわれています。これらの多くは、おとなしい性質の前立腺がんです。
ただし、中には進行が速く、早めの治療が必要なものもあります。だからこそ、自分のがんの悪性度をよく知り、担当医と一緒に納得できる治療法を選んでいくことが大切です。
参考資料
もっと知ってほしい前立腺がんのこと 2026年版, p.7-8


