胃がん患者さんの声
Patient’s Voice ~胃がん患者さんの声~
胃がん体験をされた方が、診断時・治療中や治療後に何を思っていたのか、ご自身の体験を語っていただいた情報を掲載しています。
Patient’s Voice ~患者さんの声①~
家族の存在と好きな仕事が生きる力に
胃がんと告知されたときは、腰が抜けて立てなくなるほどのショックで、泣きながら妻にメールをしました。
胃全摘術の説明の際、医師から「これから20年、30年と生きるのだからQOLの維持が大切」と言われ、食道と小腸をつなぐダブルトラクトという再建法を実施しました。5年以内に死ぬかもしれないと思っていたので、未来を見据えた医師の言葉は生きる希望となりました。
妻はナーバスになりすぎず、平常心で支えてくれました。以前は仕事中心でしたが、病気を機に子どもの学校行事にも積極的に参加し、成長の節目を見届けることが目標になりました。
医師にすすめられ、退院してわずか2か月で復職しました。仕事という社会的役割があったからこそ、自分を取り戻せたと思います。現在も貧血やダンピングなどの症状はありますが、がんばりすぎず、あきらめない精神で術後の体と付き合っていきます。
(45歳・男性・診断から12年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声②~
家族に支えられて子どもの受験と治療を完走
内視鏡手術をしてすぐに仕事復帰する予定でしたが、病理検査の結果を聞きに行くと医師に「スキルス胃がんのもとになる初期の印環細胞がんが見つかった」と言われました。しばらく様子を見て再検査をするとがんは検出されず、それでも念のために腹腔鏡手術を決意。ロボット手術で、胃の3分の2とリンパ節を切除し、予後は良好です。
診断時は長男と次男が受験を控えていたので落ち着かず、合格後は入学や奨学金の手続きと治療との両立が大変でした。そんな状況で弟たちの面倒を見てくれた長女の存在が頼もしく、家のことを引き受けてくれた夫と私の兄たちの支えにも感謝しています。手術後、麻酔から覚めてすぐにタブレットの画面越しに家族と再会でき、うれしかったです。これからは家族とのかけがえのない時間を大切に過ごしていきたいです。また、信頼できる担当医をはじめ医療スタッフにも感謝の気持ちでいっぱいです。子どもには親としてできる限りのことを尽くし卒業式を見届けたいです。
(54歳・女性・診断から3年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声③~
患者同士でつながり、孤独にならず心は前向きに
ステージⅣのスキルス胃がんと診断され、術前薬物療法を乗り越えて手術をしました。術中に悪性の結節が見つかり手術不可能に。その後、腹腔ポートから行う薬物療法ができる病院に転院し治療を続けました。そして抗がん剤が効いて手術が叶いました。
ほっとしたのもつかの間、今度は転移が見つかり卵巣を全摘。子どものためにまだ死ねないと思い、がんばりました。
胃の全摘手術後は食事を1日6回くらいに分けました。食べやすかったのはスープやシチューで、栄養補助食品やバナナは食べてもダンピング症状はなかったです。大変なときに子どものお弁当をつくってくれた夫に感謝です。
治療中に気をつけたのは孤独にならないことです。同じ病院で治療している患者さんをSNSで見つけて友達になりました。治療中の人には「あきらめないで、一人じゃないよ」と伝えたいです。
病気のことを忘れられるのは働いているときです。診断直後は働ける精神状態ではなく退職しましたが、次第に働く意欲が戻り再就職。病気に振り回されず好きなことを楽しみ、社会貢献もしていきたいです。
(48歳・女性・診断から3年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声④~
変化に一喜一憂せず、厳しい現実を自分らしく生きる
診断時ステージⅣで、医師に根治は難しいと言われました。私は生存率が0%でない限り生きている人はいると気持ちを切り替え、その中の1人になるために食事や運動などの生活習慣を改善。その一方で終活もしました。
1次薬物療法の抗がん剤が効いてがんは小さくなりましたが、副作用で手足のしびれと痛みがひどくなり24時間手袋を着用、スマホはタッチペンで操作していました。腹腔鏡手術を行い、その後も薬物療法は継続。何度か薬が切り替わり、その度に命が短くなる感覚に苛まれました。
でも、1日でも長く生きるという目標があるので心は折れません。目の前の治療に粛々と取り組みました。夫を 1人にしたくないし、好きなことをもっと楽しみたいという思いが原動力に。またステージⅣでも元気な人の存在が希望になり、患者同士、家族に言えない話も聞いてもらっています。
今は病状が落ち着き無治療ですが、ステージⅣの事実は変わりません。変化や結果に一喜一憂しないようにしながら、希望も持ち続けています。
(47歳・女性・診断から8年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声⑤~
治験に参加し再び食べられるようになり、希望が見えた
64歳でステージⅢAのスキルス胃がんが判明し、医師に治験への参加を提案されました。術前術後の補助療法として、免疫チェックポイント阻害薬とプラセボを比較する第3相試験をすすめられ、最新の治療法を試せるならと参加を決めました。
治療前はお寿司1貫を食べるのもつらい状況でしたが、標準治療の抗がん薬と治験を併用した術前薬物療法が始まるとステーキを食べられるまでに回復し、気分が前向きになりました。
胃全摘術と術後薬物療法を乗り越えて、がんはほぼ消えていました。今は副作用による手足のしびれは残っていますが、カイロで温めると楽になります。
診断時はあきらめの気持ちが強く終活も行いました。でも患者会で出会った元気な患者さんに生きる勇気をもらいました。次は自分がだれかの希望になれるよう治験の体験を伝えていきたいです。
(67歳・男性・診断から3年目)
参考資料
もっと知ってほしい胃がんのこと 2026年版,p5,10,15,16,17


