胃がんの内視鏡治療
Q.内視鏡治療について教えてください
A.おなかを切ることなく、内視鏡を口から胃に挿入し、高周波ナイフなどを用いて がんを切除する治療です。入院期間は1週間前後で済み、ごく早期の胃がんであれば、 内視鏡治療だけで完治を目指せます。
条件を満たした早期胃がんが対象
内視鏡治療は早期の胃がんに対する治療法です。内視鏡を口から挿入し、胃の内側からがんを切除して取り除きます。開腹手術に比べ、合併症や後遺症のリスクが格段に少なく、食事制限が少ないなど生活の質(QOL)を保てます。
対象となるのは「リンパ節転移の可能性がきわめて低く、腫瘍が一括切除できる大きさと部位にある」ときです。具体的には①粘膜内、分化型、病巣内に潰瘍やその傷跡がない、大きさは制限なし、②粘膜内、分化型、病巣内に潰瘍やその傷跡がある、3㎝以下、③粘膜内、未分化型、病巣内に潰瘍やその傷跡がない、2㎝以下、のどれかに当てはまることが条件になります。
胃がんの内視鏡治療には内視鏡的粘膜切除術(EMR)と、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という2つの方法がありますが、現在はESDが主流となっています。
ESDは、あらかじめ切除範囲をマーキングしたうえで、粘膜下層に液体を注入してがんを持ち上げ、マーキングに沿って全周を高周波ナイフで切開し、粘膜下層から病変を切り離す方法です(図表7)。
ESDは、広範囲の病変を切り取ることができ、病理検査も確実に行えるメリットがあります。しかし、内視鏡治療も100%安全なものではなく、ESDを受けた患者さんの約2%に穿孔(胃壁に穴があく)が、約4%に切除後の胃潰瘍からの出血が起きています。こうしたリスクを考慮し、内視鏡治療後は1週間程度の入院が必要です。また、治療後は胃潰瘍の薬を4〜8週間ほど内服します。
病理検査で根治度を評価
切除したがん組織は病理検査を行い、①病変が完全に取り除かれているか、②リンパ節転移の可能性はないか、を調べます。その結果から経過観察か、さらなる治療が必要かが決まります。
検査結果はA、B、C-1、C-2の4段階で評価されます(図表8)。これを内視鏡的根治度(eCura)といいます。eCuraA、Bは転移のリスクが低いので経過観察とし、eCuraAの場合は年に1回程度の内視鏡検査、eCuraBでは年1〜2回の内視鏡検査とともに腹部超音波検査やCT検査などを行い、転移の有無を継続的にチェックします。
eCuraC-1は、がんが残っている可能性があるため、再度のESD、追加の外科切除、焼灼法(アルゴンプラズマなどでがんを焼く方法)、または経過観察などが選ばれます。eCura C-2はリンパ節転移の可能性があるため、原則として追加の外科切除が行われますが、高齢者や持病のある患者さんでは経過観察をすることもあります。
参考資料
もっと知ってほしい胃がんのこと 2026年版,p.9-10


