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子宮頸がんの薬物療法

薬物療法はどのように行われますか

子宮頸がんに対する薬物療法は、主に遠隔転移のある場合(ⅣB期)や再発した場合に行われます。シスプラチンを基本とした多剤併用療法が主流です。

子宮頸がんで最初に行われる治療としては、手術、放射線療法単独、同時化学放射線療法が主流です。

薬物療法が単独で行われるのは、遠隔転移のあるⅣB期、さらには骨盤内での再発で過去に放射線療法を受けた経験がある場合、骨盤の外に再発が見つかった場合です。その際には、抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬が使われます。

なお、手術前や手術後に抗がん剤を使う「術前化学療法」や「術後化学療法」、放射線療法の前後の化学療法は、子宮頸がんの治療では推奨されていません。

シスプラチンベースの多剤併用療法が有効

抗がん剤は、盛んに細胞分裂を繰り返し増殖するがん細胞に作用して死滅させます。経口、あるいは血管または筋肉内に注射で投与された後、血流に乗って全身を巡り、子宮頸部を越えて広がったがんにも効果を発揮します(全身療法)。

これまでの報告から、子宮頸がんに最も効果が高いとされるシスプラチンという注射薬と、作用機序が異なる抗がん剤を同時に併用する多剤併用療法が行われています。現在、シスプラチンとパクリタキセルの併用が標準的で、腎機能が低下してシスプラチンが使えない場合はカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせが使われます。

抗がん剤に加え、分子標的薬のベバシズマブを併用することがよくあります。ベバシズマブはがん組織に新しい血管ができるのを阻害し、がんが大きくなるのを抑える薬です。

また、近年では、免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブを抗がん剤と併用できるようになりました。ペムプロリズマムはPD-1抗体薬で、がんが免疫細胞のT細胞を働かせないようにするのを阻止します。

再発に対する現在の第1選択は、パクリタキセル、シスプラチン、ベバシズマブ、ペムブロリズマブを併用した後、ベバシズマブとペムブロリズマブを維持療法として使い続けるという方法です。維持療法を続ける期間は特に定められていません。第2選択はセミプリマブの単剤使用です。

薬物療法は、多くの場合、病院の外来化学療法室で実施されます。

Ⅳ期で標準治療が終了する見込みになった場合、がんに関連する遺伝子を網羅的に調べるがんゲノムプロファイリング検査を受けることができます。その結果、遺伝子異常に合う薬が見つかり、使えることがあります。例えば、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)や腫瘍遺伝子変異量が高い(TMB-High)とわかれば、免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブが効きやすいことがわかっています。がんゲノムプロファイリング検査が保険適用されるのは1回だけなので、タイミングが重要です。

参考資料

もっと知ってほしい子宮頸がんのこと 2024年版,p.15

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