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膀胱がん検査

Q.どのような検査で膀胱がんと診断されるのですか

A.膀胱がんかどうかは、膀胱鏡検査、尿細胞診、超音波検査、骨盤部MRI検査で調べます。確定診断のためには、内視鏡を使って病変部の組織を採取する膀胱粘膜生検が必要です。


●腫瘍ができた部位によって分類される

 膀胱がんかどうかは、ほとんどの場合、膀胱鏡検査で診断できます。膀胱鏡検査とは、先端にライトと小型カメラがついた細い内視鏡を尿道の出口から膀胱へ入れ、がんの有無や位置、形、大きさを観察する検査です。

 膀胱鏡検査の際には、診断の精度を上げるために、蛍光膀胱鏡による光力学診断(PDD:Photodynamic diagnosis)や狭帯域光観察(NBI:Narrow band imaging)が用いられることが多くなっています。
 PDDは光感受性物質を服用後、蛍光膀胱鏡で観察する方法で、がん細胞だけ赤く光って見えるので、微小な病変や平坦な病変も見つけやすくなります。
 NBIは、2つの短い波長を当てることで、膀胱内の毛細血管や粘膜の表面をくっきりと写し出し観察しやすくする方法です。

 健康診断やほかの病気で受けた尿検査で微量の血尿が見つかった場合には、まずは、尿中のがん細胞の有無をみる尿細胞診、超音波(エコー)検査などで血尿の原因を調べます。

 また、腫瘍マーカー検査で、膀胱がんの尿の中に特徴的にみられる物質であるNMP22とBTAの有無も確認します。その数値は、がんがあっても上昇しなかったり、がんではないのに上昇したりすることがあるのでほかの検査の結果とあわせて判断します。

 確定診断のためには、下半身に麻酔をかけ、膀胱鏡を使って病変部を切除する膀胱粘膜生検を行い、採取した組織を顕微鏡でみる病理組織診断が必要です。
 膀胱粘膜生検は、多くの場合、初期がんの治療のために行われる経尿道的膀胱腫瘍切除術(URBT)を兼ねており、筋層非浸潤性がんであれば、ここで外科的な治療と検査が終了する場合もあります(図表3)。

膀胱がんの検査と確定診断までの流れ

 筋層浸潤性がんの場合には、さらに、CT検査や骨盤部MRI(磁気共鳴画像)検査、骨シンチグラフィ―でリンパ節やほかの臓器への転移の有無を診断します。

 CT(コンピュータ断層撮影)検査は、X線を用いて体の断面図を撮影する画像検査です。膀胱がんでは、造影剤を投与するCT尿路造影(CTウログラフィ―)で腎盂、尿管、膀胱という尿路全体を3次元の画像で撮影して腫瘍の位置や広がりを調べます。全身のCT検査で、ほかの臓器への転移の有無を確認する場合もあります。

 なお、CT検査は、膀胱粘膜生検の前に実施することもあります。MRI検査は磁気を用いて体の断面図を撮影し、膀胱がんがどこまで広がっているか確認する画像検査です。診断の精度を上げるために、マルチパラメトリックMRI、超高磁場(3T)MRIなど高精度のMRIを用いる病院が増えています。

参考資料

もっと知ってほしい膀胱がんのこと 2022年版,pp.5

公開日:2022年9月5日 最終更新日:2022年9月5日

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