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もっと知ってほしい小児がんのこと

もっと知ってほしい小児がんのこと

13:00-13:05 <開会挨拶>
NPO法人キャンサーネットジャパン理事 川上 祥子

13:05-13:25 <基調講演 ①>
「小児がんの総論」
演者:聖路加国際病院小児科 真部 淳

13:25-13:55 <基調講演 ②>
「小児造血器腫瘍(白血病など)」
演者:東京医科歯科大学医学部附属病院小児科 富澤 大輔

14:05-14:35 <基調講演 ③>
「小児固形腫瘍(肉腫・芽腫など)」
演者:国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科 牧本 敦

14:35-15:05 <基調講演 ④>
小児がん医療の現状 ~問題点と展望~
演者:大阪市立総合医療センター小児血液腫瘍科 原 純一

15:15-16:15 <Q&A・トークセッション>
もっと知ってほしい「小児がん」のこと
司会:聖路加国際病院小児科 真部 淳
パネリスト:
東京医科歯科大学医学部附属病院小児科 富澤 大輔
国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科 牧本 敦
大阪市立総合医療センター小児血液腫瘍科 原 純一

16:15-16:20 <閉会挨拶>
NPO法人キャンサーネットジャパン 川上 祥子

ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい「大腸がん」のこと 2011 in 東京~

* このたびの地震の影響を鑑み、秋葉原UDXオープンシアターにて開催を予定しておりました「もっと知ってほしい大腸がんのこと」を延期することを決定いたしました。
会場でのセミナーは開催延期としますが、インターネット上でのUSTREAM(ユーストリーム)を通じ、スタジオからのライブ配信を行いました。

【プログラム】変更の可能性があります

総合司会 アナウンサー 中井 美穂

13:00-13:05 <開会挨拶 ①>
NPO法人キャンサーネットジャパン事務局長 柳澤 昭浩

13:05-13:15 <開会挨拶 ②>
東京医科歯科大学大学院腫瘍外科学 教授
大腸癌研究会 会長 杉原 健一 

13:15-13:45 <基調講演 ① >
「大腸がんとは?予防・検診の実際」
演者:東京医科歯科大学大学院腫瘍外科学 石黒 めぐみ

13:45-14:05 <基調講演 ②>
「大腸がんの外科的治療と補助療法」
演者:東京医科歯科大学大学院腫瘍外科学 石黒 めぐみ

14:05-14:10 休憩

14:10-14:40 <基調講演 ③>
「大腸がんの薬物療法(抗がん剤・分子標的治療)」 
演者:埼玉県立がんセンター消化器内科 山口 研成

14:40-15:00 <基調講演 ④>
「がん医療を支える包括的チーム医療」 
演者:埼玉県立がんセンター消化器内科 山口 研成

15:00-15:05 <後援日本オストミー協会からの挨拶>
演者:日本オストミー協会 理事 石井 京子

15:05-15:15 休憩

15:15-15:55 <Q&A・トークセッション>
もっと知ってほしい「大腸のがん」のこと
司会:中井 美穂
パネリスト:
東京医科歯科大学大学院腫瘍外科学 教授
大腸癌研究会 会長 杉原 健一
東京医科歯科大学大学院腫瘍外科学 石黒 めぐみ
埼玉県立がんセンター消化器内科 山口 研成
日本オストミー協会 理事 石井 京子

15:55-16:00 <閉会挨拶>
NPO法人キャンサーネットジャパン事務局長 柳澤 昭浩

もっと知ってほしい「子宮頸がん」のこと2011

15:00-15:05 <開会挨拶>
NPO法人キャンサーネットジャパン事務局長 柳澤 昭浩

15:05-15:50 <特別講演 ①>
子宮頸がんの予防~正しく知ってほしい、ワクチンと検診のこと~
演者:国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 濱島 ちさと

15:50-16:15 <特別講演 ②>
「23歳で子宮頸がんを体験して」
演者:グローバルメッセージ代表取締役社長 阿南 里恵

16:25-17:10 <特別講演 ③>
子宮頸がんと向き合うために~子宮頸がんの治療と合併症~
演者: 埼玉医科大学国際医療センター 婦人科腫瘍科 藤原 恵一

17:15-17:55 <Q&A・トークセッション>
もっと知ってほしい子宮頸がんのこと
司会:一般社団法人ティール&ホワイトリボンプロジェクト理事 川上 祥子
パネリスト:
国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 濱島 ちさと
埼玉医科大学国際医療センター 婦人科腫瘍科 藤原 恵一
グローバルメッセージ代表取締役社長 阿南 里恵

17:55-18:00 <閉会挨拶>
NPO法人キャンサーネットジャパン事務局長 柳澤 昭浩

もっと知ってほしい「胃がん」のこと & 映画「希望のちから」で学ぶ、がんの臨床試験のこと 2011 in 横浜~

午前の部
10:00-10:10 開会挨拶
映画「希望のちから」で学ぶがんの臨床試験のこと企画主旨説明
NPO法人キャンサーネットジャパン 柳澤 昭浩

10:10-11:40 映画上映
映画 希望のちから 上映

11:40-12:00 レクチャー
もっと知ってほしいがんの臨床試験のこと
講師:NPO法人キャンサーネットジャパン 柳澤 昭浩

午後の部
13:00-13:10 セミナー開会挨拶
本セミナーの開催目的と背景
NPO法人キャンサーネットジャパン事務局長 柳澤 昭浩

13:10-13:40 情報提供セッション①
「胃がん総論」
講師:横浜市立大学 消化器外科学 今田 敏夫

13:40-14:15 情報提供セッション②
「腹腔鏡手術」
講師:北里大学東病院 外科学 櫻本 信一

14:15-14:45 情報提供セッション③
「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」
講師:神奈川県立がんセンター 消化器外科胃食道 尾形 高士

15:00-15:55 Q&Aセッション
もっと知ってほしい胃がんのこと

司会:神奈川胃癌ネッツ代表 横浜市立大学 消化器外科学 今田 敏夫
回答者:
北里大学東病院 外科学 櫻本 信一
神奈川県立がんセンター 消化器外科 尾形 高士
神奈川県立がんセンター 消化器外科 円谷 彰

16:25-16:30 閉会挨拶
神奈川胃癌ネッツ代表 横浜市立大学 消化器外科学 今田 敏夫

キッズ医療体験セミナー ~キッズ外科手術体験セミナー~

10:00-10:10 開会挨拶
神奈川県立がんセンター 消化器外科 円谷 彰

10:10-11:40 超音波メスによる模擬手術体験や、内視鏡下手術器具操作などの体験型プログラムなどを実施

【指導医師】
神奈川県立がんセンター 消化器外科 円谷 彰
北里大学東病院 消化器外科学 櫻本 信一
神奈川県立がんセンター 消化器外科 吉川 貴己
聖マリアンナ医科大学病院 消化器・一般外科 福永 哲
聖マリアンナ医科大学病院 消化器・一般外科 民上 真也
ほか

11:40-11:50 修了証授与・記念撮影

11:50-12:00 閉会挨拶
北里大学東病院 消化器外科学 櫻本 信一

>過去のキッズ医療体験セミナーの様子はこちらから<

もっと知ってほしい「がんの臨床試験・治験」のこと2011

第1部 映画“希望のちから”で学ぶがんの臨床試験のこと

13:00-13:15 <オープニングセッション>
国立がん研究センターがん対策情報センター 山本 精一郎
NPO法人キャンサーネットジャパン事務局長 柳澤 昭浩

13:15-14:45 <映画>
映画「希望のちから」上映

14:45-15:00 <クロージングセッション>
国立がん研究センターがん対策情報センター 山本 精一郎
NPO法人キャンサーネットジャパン事務局長 柳澤 昭浩

第2部 乳がんに対する新治療と臨床試験のこと

15:15-15:20 <開会挨拶>
埼玉医科大学国際医療センター腫瘍内科 佐々木 康綱

15:20-15:40 <講演 ①>
「臨床試験(治験)て何? 臨床試験(治験)で知っておくべきこと」
講師:国立がん研究センターがん対策情報センター 山本 精一郎

15:40-16:20 <講演 ②>
「乳がんに対する新治療と臨床試験のこと」
講師:国立がん研究センター東病院化学療法科 向井 博文

16:30-17:20 <Q&A・トークセッション>
もっと知ってほしい「がんの臨床試験・治験」のこと
司会:埼玉医科大学国際医療センター腫瘍内科 佐々木 康綱
パネリスト:国立がん研究センターがん対策情報センター 山本 精一郎
国立がん研究センター東病院化学療法科 向井 博文

17:20-17:25 <閉会挨拶>
NPO法人キャンサーネットジャパン事務局長 柳澤 昭浩

前立腺がんセミナー2018 in 岡山 〜もっと話そう前立腺がん転移のこと くらしを守る早期対応のすすめ〜

本レポートは2018年9月2日に開催した時の内容です。医療情報は日々進歩しています。最新の情報と変わっている場合があります。また講師の所属や肩書きもそのときのものです。ご注意ください。

もっと話そう前立腺がん転移のこと~くらしを守る早期対応のすすめ 岡山セミナー
座長:渡邉 豊彦 先生(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器病態学 准教授)

目次

【講演記事1】前立腺がん転移について知ってほしいこと 荒木 元朗 先生(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 泌尿器病態学 講師)
【講演記事2】転移の早期発見・治療のために放射線でできること 勝井 邦彰 先生(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 陽子線治療学 准教授)
【講演記事3】治療と向き合う上で大切なこと~骨転移を体験して 川﨑 陽二さん
「Q&Aディスカッション」 パネリスト:渡邉 豊彦 先生 荒木 元朗 先生 勝井 邦彰 先生 川﨑 陽二さん 司会:武内 務さん(NPO法人腺友倶楽部 理事長)

【講演記事1】

前立腺がん転移について知ってほしいこと

荒木 元朗先生
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器病態学 講師

前立腺がんは経過の長いがん

前立腺がんは増えており、日本人男性の11人に1人が生涯のうちに罹患するとされています。2017年のデータでは、男性の罹患率は胃がん、肺がんに次いで3番目の高さです。年齢では50歳以上に多く、今後高齢化社会がさらに進んでいくなかで、2025年には前立腺がん患者のうち6割強が75歳以上という推計も出ています。家族に前立腺がんの方がいる場合はその発生率は2倍とされ、食生活の欧米化も影響していると言われています。

前立腺がんは経過の長いがんであり、5年相対生存率は97.5%と、がんに罹患していない人とほぼ変わらないくらいです。全部位のがんの生存率が約6割であることを考えると、前立腺がんは非常に経過がよく、予後のいいがんであるといえるでしょう。とはいえがんはがんですから、ずっと治まっているものばかりではありません。前立腺から少しずつ飛び出していくがんもありますし、いきなりリンパ節や骨などに転移していくがんもあります。

転移を不安に感じていらっしゃる方は多いのではないかと思いますが、前立腺がんは転移してもほかのがんほど生存率は落ちず、長いつきあいになるがんであり、転移した後に長生きしている方も多くいます。

手足のしびれは「緊急事態」

前立腺は膀胱のすぐ近くにあり、男性にしかありません。みなさんは直腸診を受けたことがあると思いますが、この検査ではお尻の中に医師が指を入れて触れます。一般的にそこでしこりがあれば前立腺がんを疑うことになります。前立腺がんが進行するとおしっこが出にくくなったり、血尿が続いたりすることがあります。

転移というのは、体の他の部位にがんが飛んでいくことです。前立腺がんの場合は、骨やリンパ節への転移がほとんどで、特に骨転移は、転移全体の80%を占めます。具体的には、血管の中に入ったがん細胞が骨にすみついて、そこで増殖します。骨転移は大きく2パターンに分けられます。多くは混合型ではありますが、乳がんや肺がんでは骨を壊すタイプの転移(溶骨型転移)であるのに対し、前立腺がんでは、どちらかというと異常に骨が増えることが多く(造骨型転移)、それにより骨折などをしやすい状態になります。

骨転移の症状として多いのは転移したがんが脊髄を圧迫することによる痛みです。ほかに手足のしびれや麻痺、なんでもないのに骨が折れてしまう病的骨折があります。前立腺がんで何らかの治療を受け、ホルモン治療も併用している、再発がありホルモン療法を受けているといった場合は骨がもろくなりますから、骨のケアも必要です。無理のない運動をすることで骨がやや強くなりますし、転倒防止にもなります。骨はカルシウムからできていますから、骨転移があると血中のカルシウムが高くなって、食欲不振や吐き気、倦怠感、多尿などの症状が出ることがあります。ひどい場合は意識障害が起こります。最初は小さな違和感から始まり、徐々にはっきりと症状が出てきます。少しでも違和感があったときには主治医に伝えてください。

前立腺がん患者さんへのアンケート調査では、背中に痛みがあっても「前立腺がんと関係ないのではないか」とか「PSA検査値が動いていなければいいのでは」と考えて医師に伝えない方もいるようですが、PSA値が上がらなくても骨などに転移があることもあります。痛みがあるときにはぜひ医師に伝えてください。痛みの度合いの伝え方については、0から5まで、5段階のうち2痛いとか、10段階のうち3痛いといった伝え方をすると、医師は痛みの状況を評価しやすくなります。

ただし、次のような症状が出た場合は緊急事態と考えてすぐに受診してください。

・手足がしびれる
・力が入らない
・足がもつれたり踏ん張りがきかない

目安は発症から48時間以内で、それを超えるとせっかく手術しても回復が難しくなります。

再発や転移は全身治療が中心

骨転移の検査では、腫瘍マーカーのPSAやアルカリホスファターゼ(ALP)の値が指標になります。画像検査では骨シンチグラフィー(骨シンチ)があり、CTやMRIを併用することもあります。骨シンチのいいところは全身の骨が評価できるところです。

前立腺がんの再発や転移がある方は全身の治療が行われます。ホルモン療法や化学療法、放射性医薬品などです。骨への治療についていえば、特化した薬がありますし、緊急事態であれば骨を直接圧迫するところを整形外科的処置で治療するという方法も考えられます。

痛みを和らげる鎮痛剤は、痛みの強さに合わせて段階的に処方されます。放射線療法も有効です。放射性同位元素内用療法(RI内用療法)では、薬剤を体内に投与し、身体の中から放射線をあてて治療し、骨の痛みをコントロールしたり、がん細胞そのものを治療したりします。また、アルファ線内用療法では、骨転移の人が使うと生存期間が長くなるという研究結果も出ています。そのほか、放射線ではありませんが、骨吸収抑制剤(ビスホスホネート)といって、点滴で骨の吸収と形成のバランスを整えてあげる薬もありますが、長期間使うと、顎の骨が溶けてしまう(顎骨壊死)ことがあります。それぞれの医師の考え方はありますが、私の考え方としては2年以上の使用は要注意で、2年続けたら一旦やめるというのも一つの考え方です。

前立腺がんの場合、ほかのがんに比べると転移があっても経過が長いので、「この世の終わり」ではありません。がっかりせずに長くつきあっていってほしいですね。

【講演記事2】

転移の早期発見・治療のために放射線でできること

勝井 邦彰先生
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 陽子線治療学 准教授

放射線科医の業務と放射線科での検査

放射線科医の業務は、大きくIVR(カテーテルや針での検査・治療)、画像診断(画像のレポート作成)、放射線治療(がん治療)に分けられます。私が現在やっているのは3つめの放射線によるがん治療で、X線を中心に放射線で治療を行っています。特殊なものとしては陽子線治療や重粒子線治療も含まれます。放射線治療には怖いイメージを持つ方が多いですが、主治医の先生方は、その患者さんにとって放射線被ばくよりも医療行為のメリットの方が大きいと判断したときに、放射線検査や放射線治療の依頼をします。

がんの転移は人から人にうつるものではなく、もともと前立腺なり乳腺などにできたものが同じ人の肺や骨などに飛ぶことです。その状態を調べるために主に放射線を使って検査しますし、転移を調べるだけでなく、治療後の定期的な検査にも使います。そうした検査でほかに潜んでいた病気が見つかることもよくあります。ですから、お金もかかりますし、待ち時間も長くなるかもしれませんが、医師から勧められたときには、ぜひ検査を受けていただければと思います。ガイドラインでは骨シンチグラフィー、PET、CT検査、MRIが推奨されています。

骨シンチグラフィーではまず放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)の注射をして、体に巡るのを待った後、数十分かけて撮影を行います。画像の黒くなっている部分が骨に転移した可能性がある箇所であり、その異常箇所をMRI検査でみていきます。骨シンチは全身を撮れますが、MRIは骨盤だけとか背骨だけといった撮り方しかできません。骨シンチで異常な場所を見つけ、MRIで詳しく調べるのが標準的なやり方です。

PETも有効です。これは体の中にブドウ糖に似た物質と放射性同位元素を注射して、それを画像にするものです。PETというRI(ラジオアイソトープ)を使った検査とCTとが一緒になったPET-CT検査として行われることがほとんどです。糖分を良く取り込むがんが多いので、糖分を積極的に取り込むがんはこの検査でひっかかってきます。

なお、MRIについてはかなり強力な磁石を使っているため、検査に持ち込めないものを検査前によく確認してください。カラーコンタクトや永久アイライン、入れ墨などもダメです。

前立腺がんに適用される放射線治療

放射線治療は手術、化学療法と並ぶ、がん治療の3本柱の1つです。放射線治療の中でも根本的にがんを治すことを目的にするものを根治照射といい、照射には7、8週間かけます。放射線治療には、外から照射するもの(外照射)と、中に埋め込む場合(密封小線源)、密封していない放射線を注射するもの(非密封線源:RI内用)があります。

前立腺がんで骨などに転移がある場合、照射の目的は痛みや麻痺などの症状を抑えこんで生活の質を改善することになります。

【外照射】
一般的にがん治療に使われているのが「リニアック」という装置で、基本は1日に1回、20分から30分横になって照射を受けます。週に最大5回で、1回で終わるものもあれば、前立腺がんでは39回に分けて行う場合もあります。定位放射線治療(ピンポイント照射)の専用機である「サイバーナイフ」や、頭部病変を治療できる「ガンマナイフ」といった高精度の治療が可能な機器もあり、岡山県内でも一部の医療機関に導入されています。そして、私が関わっているのが陽子線治療です。非常に大きな設備が必要なもので、陽子を光の速度の70%まで加速させて患者さんのもとに届けます。前立腺がんの場合は、リニアックやサイバーナイフで前立腺の根治照射と緩和照射をします。ガンマナイフは頭の転移に有効でしょう。陽子線治療については非常に高額なものですが、根治照射にのみ公的保険が適用されています。それぞれ状況によって得手不得手があるので悩まれた場合は医師にご相談ください。

【密封小線源】
放射線を出す小さな線源(カプセル)を前立腺内に挿入し、前立腺の内部から放射線を照射する治療法で、線源には放射性同位元素が密封されています。永久に埋め込む場合と一時的に挿入する場合があり、埋め込む場合、埋め込む数は50個~100個程度で患者さんによって異なります。挿入は泌尿器科の医師がアプリケーターを使って行い、後ろで放射線科の医師が指示をします。

【非密封線源(RI内用)】
放射性同位元素を注射などで体内に投与します。薬が転移箇所に集まることで薬からα(アルファ)線が出て、がん細胞を叩き予後を改善することができます。前立腺治療に関するガイドラインでは鎮痛剤をまず使った上で、痛いところには外から照射する放射線療法を追加するよう勧めています。鎮痛剤を増やしながら放射線治療を受け、少しでも早いうちから生活の質を落とさないようにしていただきたいと思います。

例外的に大急ぎで放射線治療を検討すべきなのは、前立腺がんの場合は、骨に飛んだ転移が脊髄に悪さをしている場合です。手足が痺れたり、尿が出すぎたり、出なかったり、あるいは便が漏れるといった症状がある場合は骨転移が原因の可能性がありますからすぐに診察を受けてください。そして骨転移による症状であると診断された場合には早めに放射線治療あるいは手術、あるいは両方をした方がいいでしょう。高齢者の場合は骨が歪んだリ、椎間板がずれたりしやすいため、ヘルニアとの区別が必要で、そのためにもMRIを撮るといいと思います。また、根治照射の場合は、がんの形状に一致した部分へ集中して高い線量を照射できる強度変調放射線治療(IMRT)が入っている施設で治療を行うことをお勧めします。従来型の放射線装置に比べ、効果が高く、副作用も少なくなっています。

陽子線治療は前立腺がんに対して公的保険適用が認められています。陽子線治療を説明するには「止まる放射線」というのが伝わりやすいでしょう。陽子線は一般的な診療で用いられるX線と比べ、「止まる深さ」でがんに最大のダメージを与え、それより深いところに行きません。その分副作用を減らすことができます。
放射線治療については、放射線腫瘍学会(JASTRO)のホームページに動画があるので、見ていただけるとわかりやすいと思います。

【講演記事3】

治療と向き合う上で大切なこと
~骨転移を体験して~

川﨑 陽二さん
前立腺がん骨転移経験者

骨転移を理解するまで

私は昭和33年生まれでちょうど今年で還暦です。今から6年6カ月前、特別養護老人ホームで介護士として勤務しているときに前立腺がんの宣告を受けました。PSAの値は700を超え、骨転移をしていましたから、そのときの私がどういう気持ちだったかはおわかりになると思います。最初は骨転移よりもがん自体を理解することが先決で、すぐには受け止められずかなり落ち込みました。


私の場合、鎖骨、肋骨、脊椎、骨盤に骨転移があったのですが、一番辛かったのは肋骨でした。胸を針で刺されるような痛みが24時間続きました。どうにも耐えられなくなり、主治医に相談して、放射線内照射治療や分子標的薬で緩和する形をとってきました。

症状はその後、改善傾向にあったのですが、治療開始から4年が過ぎたころに骨転移が原因と思われる脊椎官狭窄症で新たな痛みを発症しました。最初は鎮痛剤で痛みを緩和するしかなく、歩行困難に。ペインクリニックでブロック注射を打ったりしましたが、どんどん悪くなっていきました。手術しようにも骨転移している骨はかすかす状態で、当時はそんな状態の骨を触る整形外科はいないとも言われました。

そのできなかった手術を昨年12月と今年の6月に受けました。固定術ではなく除圧術というもので、内視鏡を使う新しい手術です。横から脊椎に向かって内視鏡を入れ、除圧してもらいました。上半身は麻酔にかかっていなかったので、執刀医と話をし、モニターを見ながら手術を受けましたが。手術が終わって2、3時間後には病室をふつうに歩くことができ、4日目には退院できました。骨転移に対してこうした新しい手術があることもぜひ知っていただきたいと思います。

そのほかでは放射線緩和治療も受けてよかったです。口腔外科での衛生管理や骸骨壊死予防も、QOLの向上に繋がりますから、みなさんもぜひやっておくといいと思います。

治療に向き合う上で大切なことは、「小さな症状でも訴える」ということです。痛くなくても骨のあたりがかゆいと思ったくらいでも医師に伝えてください。そして生活の質を中心にした治療を意識しましょう。そうすることで治療に前向きになるし、体内の免疫効果も高まり、治療の効果も上がります。そしてほかの骨病変にもぜひ注意してください。そこは、私は迂闊でした。脊柱管狭窄症になるなんて思いもしてなかったのです。

がんの痛みはどんなに名医でもわかりません。小さな痛み、うずき、針を刺すような痛みなどいろいろあり、人によって違います。それを細かく主治医に訴えれば、主治医がそれに見合う最良の治療を選んでくれると思います。私はそうして選んでもらって今ここにいます。

骨転移で苦しかったこと、辛かったこと

骨転移で苦しかったことに、痛みがひどく、退職を余儀なくされたことがありました。ずっと無職の状態がずっと続いたのですが、実は最近私を雇ってくれる職場が見つかりました。年ばかりいって、体は動かんで、口は達者という私ですが、昨日は初出勤でした。以前と同じ介護にかかわる仕事ですが、骨転移しているのであまり動かなくてもいいデスクワークです。「デスクワークも休み休みしてくれたらいい」と経営者からありがたい配慮をいただき、希望の職に復帰することができました。こういう人間もいるのだということで、少しでも希望を持っていただけるとうれしいと思います。

こういったふうに仕事も会社も社会も変わっております。あと医療も最新の骨転移の治療もどんどん出てきています。私は、大きな声でいっていいかな、骨転移なんかこわくないです。それなりの対策を講じてそれなりの心構えで挑んでくれたらなんらこわいことはないとそれだけは理解していただけたらと思います。

*患者さん個人のご経験をお話しいただきました。すべての患者さんが同様の経過を示すわけではありません。

【Q&Aディスカッション】

パネリスト:渡邉 豊彦先生 荒木 元朗先生 勝井 邦彰先生 川﨑 陽二さん
司会 武内 務さん NPO法人腺友倶楽部 理事長

質問:陽子線治療についてもう少し詳しく教えていただけますか。

勝井先生:陽子線で前立腺がんを根本的に治す治療は、現在、岡山県では津山中央病院(岡山県津山市)で始まっており、保険適用で患者さんの自己負担限度額の支払いで済みます。陽子線治療以外に放射線の中には従来よりX線が用いられ、X線による新しい照射法としてIMRT(強度変調放射線治療)があり、こちらはかなり広まってきています。通常のX線照射に比べると副作用と効果の面で圧倒的にいいと言えるでしょう。陽子線治療とIMRTを比べれば、教科書的には効果も副作用もほぼ同じです。なお、IMRTや陽子線治療は骨転移がある場合は、現状は公的保険の適用外です(2018年9月現在)。

質問:前立腺がんの治療では、どんな患者さんが手術に適していて、どんな患者さんが放射線治療に適しているのか教えてください。

荒木先生:前立腺がんは経過が長い病気ですから、見つかったからといって必ずしもすぐに治療をする必要がない人もいます。手術にしても放射線治療にしてもホルモン療法にしてもそれなりの副作用があるので、これは非常に経過のいいがんだと判断された場合に適用します。生検といって針を刺して顕微鏡でみる検査がありますが、その判定でグリーソンスコアが低く、がんの悪性度が低いときには、経過観察ということもあります。それを超えた場合で、手術や放射線による治療を選ぶ場合は、治しきる、取りきるということを狙います。手術についていえば、教科書的には75歳までの適用とされていることも知っておいてください。転移のない前立腺癌は10年以内に命にかかわる可能性が低いからです。平均寿命が81歳、82歳であることを考えると、治療に伴う合併症のリスクを冒してまで手術する必要があるのかないのか。もしそうした治療の副作用が出ると、命にかかわらない病気なのに副作用だけを持ってしまうことになってしまいます。放射線をお勧めするのは少し高齢な方ということになります。一方、50代、60代という若い方の場合は放射線より手術の方が向いているでしょう。なぜなら放射線は5年、10年、15年後にも放射線の副作用の影響が出ることがあるからです。ただ、これは敢えて言えばという話であり、50代、60代では放射線治療がダメかというとそういうことではありません。

質問:術後の再発があった場合の治療はどんなものがありますか。

荒木先生:術後の再発があった場合は放射線治療またはホルモン治療が選ばれます。これは再発の仕方によります。前立腺を取ったあとに近接部位だけにがんがあると考えられる場合には放射線治療がいいと思います。ただPSAがすごい勢いで上がってくる方は全身にがん細胞があると考えられ、その場合はピンポイントで放射線をあてるよりも全身に効くホルモン療法がいいと思われます。そういう判断が各主治医からされているはずです。

質問:ホルモン治療はいつまで続ける必要がありますか。

荒木先生:薬物によるホルモン治療をいつまで続けるかについては、ケースバイケースです。ただ、ホルモン治療は男性ホルモンを抑え込む治療であり、1年くらい続けるとしばらくは男性ホルモンが抑えられっぱなしになります。これは切除したがんの性質によりますが、「この患者さんのがんはおとなしい」と思われたら主治医の判断で、「一旦ホルモン療法をやめましょう」という話にもなることもあるでしょう。そうした提案があったら、主治医がある程度安心している時と判断していただいて結構です。一旦やめても、ホルモン治療はいつでも再開できます。ホルモン療法も副作用もありますから、そうした間欠的な治療も選択肢のひとつになると思います。

荒木先生:ホルモン療法をしていて再発と判定するのは、1カ月ごとに調べるPSAの数値が一番低かったPSAの25%の上昇かつ2ng/ml以上と定義されています。

渡邉先生:放射線治療中の再発の場合はどうですか。

荒木先生:最初の治療で放射線治療を選択された方は、若い方にはどちらかというと手術をお勧めしますし、お年を召した方にはどちらかといえば放射線治療をお勧めします。全身麻酔などが少し負担と考える方も放射線治療を考えたほうがいいでしょう。放射線治療される方の多くはホルモン治療もされていると思いますので、数年間あるいは数カ月間ホルモン治療された後に再発ということもあります。そのときはまずPSAが反応します。

荒木先生:おおまかにいえば、PSAで一番低いところから2上がったときが再発となっていますが、必ずしもすぐに治療が必要かといえばそうではありません。それまでの経過もみなくてはいけません。手術後の数値が意味するところはまた別です。再発もしくは手術でがんがとり切れなかったと判定されるレベルはPSA値で0.2から0.5。いろいろなシチュエーションの中で再発がありますので、みなさん混乱されると思いますが、それぞれのシチュエーションに合わせて「再発」という定義がされます。気をつけてほしいのは、手術の後にPSA値が0.2とか0.5で「じゃ、再発」ということだから、すぐにCTとかMRIとか骨シンチを撮ればいいというわけではない点です。その程度の数値では画像検査をしてもなかなかわかりません。

渡邉先生:ひと言で再発といっても、単にPSAだけが上がる再発と、実際に画像検査で病変が出現し,それに関連する自覚症状が現れるような再発とは異なるということですね。

質問:川﨑さんに聞きたいのですが、食事について何か気をつけていらっしゃること、骨折の予防でお勧めはありますか。

川﨑さん:まず食事についてですが、がん治療の影響もあり、脂っぽいものが苦手になる方は多いようです。私の場合は極端に苦手になり、現在は野菜中心の食生活で、その間にちょこちょこ肉魚を摂る程度です。暴飲暴食もしているかもしれませんね(笑)。お酒もいただいています。これはやめなさいと言われているもの以外は気を使っていませんね。骨転移があるので予防としては、重たいものを持ってはいけないと医師から言われています。10㎏のものを持ってはいけないと言われたら、7、8キロで抑えるとかそれ以上に予防線を張るよう心掛けています。そして、大げさなくらいに周りに「何もできない」と訴えています。周りの協力がなかったら骨折の予防はできないと思いますので。

質問:骨に対する放射線治療を行ったあとに病気が進行した場合はどんな治療がありますか。

勝井先生:放射線治療をした後、数年、あるいは短い場合で数カ月後にがんがジワッと大きくなることはあります。特に前立腺がんの方は年単位で考えなければいけません。もう一度同じ場所に放射線を受けることができるかというと原則的にはできません。ただ、ひどい痛みや辛さの症状の原因になっている場合は例外的に再照射をする場合はあります。一方、照射場所が前回と違う場合にはあまり問題はありません。ただし、骨やほかの臓器に転移していれば基本的には全身の治療、つまり抗がん剤やホルモン剤が主体となってその合間に放射線治療を考えるというのが基本的な方向性です。

質問:ホルモン療法が効かなくなって抗がん剤を進められていますが、私は80歳を超えている。高齢者でも抗がん剤は大丈夫なのか。

荒木先生:その方の健康状態によります。70歳を超えると健康状態は人によって大きく違います。80歳だからダメとも申しませんし、絶対大丈夫とも言えません。主治医の先生とお話しいただくというのと、もし抗がん剤(化学療法)以外の方法があれば一般的にはその方がいいと思いますが個々のケースによると思います。

質問:自覚症状が全然なくてPSAが上がってきていない状態でも転移検査をする必要があるのでしょうか。

荒木先生:何らかの治療をして、PSAが0であれば画像検査はいらないです。MRI、CTなど今ある画像検査をやっても、PSAが上がってくる前に画像にうつることは基本的にはないです。

武内さん:いったん去勢抵抗性になって、それでもPSAが安定している時期はあると思いますが、そういうときも定期的に転移検査をするのか、しなくてもいいのでしょうか。

荒木先生:そのPSA値の落ち着いたところの度合いにもよりますが、全体的流れは5年前、10年前に比べると画像検査は早めにやりましょうという提言はなされています。しかし統計をとると早めの画像診断はドクターの約3割しかやっていない(出典:Medical view社 スッキリわかる前立腺癌 P 196、APCCC2015の調査結果)。ドクターもそういう指針はあるもののあまりに早い画像検査はやりすぎだと思っているのが現状だと思います。

最後に座長からのメッセージ

渡邉先生:荒木先生や勝井先生がおっしゃるように、前立腺がんや転移に対して、今わたしたちはいろいろな治療法を持っています。それをいかにいい状況で、適切な患者さんに適切な段階でその治療を提供できるかが大事だと考えています。
勝井先生からその診断や放射線治療についての詳しいご説明、荒木先生からは前立腺がん転移の概論と治療についての説明をいただき、川﨑さんからは実際に治療を受けたリアルな体験、怖くない、恐れなくていい、長い付き合いが必要だというお話をいただきました。
日本人の2人に1人ががんになる時代です。どううまくお付き合いできるかが重要です。前立腺がんはある程度先が読めて、そこまで家族と一緒に準備ができる幸せな病気だ、と考える先輩医師がいました。私はある意味それも超高齢化社会になった現代には正解かなと思っています。きょうは約150名と大勢の方に来ていただき、専門家2人と川﨑さんに話していただきました。武内さんも話を聞いていただきありがとうございました。

武内さん:先生方、川﨑さんきょうはありがとうございました。

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前立腺がんセミナー2018 in 福岡 もっと話そう前立腺がん転移のこと

本レポートは2018年6月24日に開催した時の内容です。医療情報は日々進歩しています。最新の情報と変わっている場合があります。また講師の所属や肩書きもそのときのものです。ご注意ください。

もっと話そう前立腺がん転移のこと~くらしを守る早期対応のすすめ 福岡セミナー
座長:江藤 正俊先生(九州大学大学院医学研究院 泌尿器科学分野 教授)

目次

【講演記事1】前立腺がん転移について知ってほしいこと 塩田 真己先生 九州大学病院 泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科 講師

【講演記事2】転移の早期発見・治療のために放射線でできること 大賀 才路先生 九州大学病院 臨床放射線科 助教

【講演記事3】治療と向き合う上で大切なこと~骨転移を体験して 川﨑陽二さん

「Q&Aディスカッション」 パネリスト:江藤 正俊先生 塩田 真己先生 大賀 才路先生 川﨑 陽二さん 司会:武内 務さん(NPO法人腺友倶楽部 理事長)


【講演記事1】

前立腺がん転移について知ってほしいこと

塩田 真己先生
九州大学病院 泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科 講師

高齢者に増える前立腺がん

前立腺がん患者は増加傾向にあり、現在は日本人男性の11人に1人が生涯のうちに罹患するとされています。高齢者に多いがんで、患者全体の約半分を75歳以上が占めています。

リスク因子は、この年齢面に加え、人種や家族歴があります。人種では罹患しやすい順に黒人、白人、アジア人です。家族歴では、父親や兄弟に前立腺がん患者がいる場合、3倍から5倍程度前立腺がんにかかりやすいとされています。

前立腺がんは治療法がいろいろあり、治療がよく効くがんです。5年相対生存率は全体で97.5%と高く、その点ではさほど怖くないと思われますが、逆にいえば長くつきあわなければならないがんとも言えます。

早期とされる限局がんでは、がんは前立腺の中に留まっていて、5年相対生存率も非常に高いですが、がんが前立腺の外まで広がってくる局所浸潤がんになると、治療が少し難しくなり、さらにがんが血液やリンパの流れに乗って前立腺以外のところに転移が見られる場合は、5年相対生存率をみてもかなり厳しい状態であることがわかります。

前立腺がんに多いのは骨転移

前立腺がん患者や家族を対象にしたインターネット調査では、不安なこととして「がんが転移しないか」を選んだ人は7割を超えています。転移はどんなところに起きるのかを知り、転移したときにどう対応していくかは非常に重要です。

前立腺がんで見られるのは、主にリンパ節、骨、肝臓、肺への転移です。中でも多いのが骨転移で、ホルモン治療が効かなくなった「去勢抵抗性前立腺がん」の患者の場合、その頻度は80%以上になります。

骨転移は、前立腺にできたがん細胞が血管に入り、血液の流れにのって骨にくっつき、そこでがんが増えるものです。ほかのがんでは、がんが転移することで骨が溶けるタイプの「溶骨型転移」が多いですが、前立腺がんの場合はほとんどが「造骨型転移」という骨を作るタイプのものです。溶骨型転移に比べると頻度は低いですが、やはり健康な骨とは違い、骨折しやすい状態になります。

骨転移の症状とは

骨転移の症状でもっとも多いのは痛みですが、脊髄圧迫による手足のしびれや麻痺、転移部位を骨折してしまう病的骨折や骨からカルシウムが出てしまう高カルシウム血症もあります。痛みやしびれは本人にしかわかりませんから必ず主治医に伝えてください。痛みの程度、痛みの部位、どんな感じの痛みなのか、どんなときに痛むのか、日常生活にどの程度影響しているのかも合わせて伝えると、どんな検査やどんな治療をすべきかを考えるうえで非常に参考になります。

骨転移が進行し重大な状態になると出やすいのが手足のしびれや麻痺です。背骨に転移して、脊髄の神経を圧迫してしまうために起こる症状ですから、手足の力が入らない、足がもつれる、踏ん張りがきかないといった場合は一刻も早く医師に相談してください。麻痺が発生してから時間が経過すると回復が難しくなってしまいます。

また、病的骨折は転移した骨に起きますが、脊椎という背骨を骨折した場合は、背中が曲がったり、腰痛が起きますし、大腿骨を骨折すれば寝たきりになることもあります。そうなると患者さんのQOL(生活の質)は大きく下がってしまいますから、定期的に骨密度を測定し、必要があれば治療することで予防してください。無理のない範囲で運動すること、カルシウムを摂取することなども有効です。ホルモン療法の影響で骨が弱くなっていることもあります。

骨転移の検査と治療について

【骨転移の検査方法】
PSAという有能な腫瘍マーカーがあり、前立腺がんの病状を把握するのに非常に有効です。骨転移に対しては、アルカリホスファターゼという骨から出ている成分を測る血液検査があります。さらに骨転移の部位がわかるのが、骨シンチグラフィーという放射線を使った診断方法で、撮影した画像では、骨転移の場所がはっきり写し出されます。

【骨転移の薬物療法】
治療効果があるとされるのが男性ホルモンの働きを抑えるホルモン療法です。それが効かなくなった場合には化学療法(抗がん剤)による治療が行われます。最近は放射線物質が入った薬剤を注射し、薬剤からの放射線で治療する方法もあります。

【骨転移への対応】
転移が起こった部分の骨を強くすることで、骨折を起こりにくくする骨修飾薬という薬があります。整形外科的な治療も行います。

【痛みへの対応】
痛みに応じて処方します。軽い場合は一般的に使われている痛み止めを、痛みがそれで治まらなければ強めのものを、それでも難しい場合はモルヒネなどの麻薬系の薬を使う場合があります。

【講演記事2】

転移の早期発見・治療のために放射線でできること

大賀 才路先生
九州大学病院 臨床放射線科 助教

前立腺がんの転移は、前立腺にできた細胞が血流やリンパ流にのって他の臓器に移り、そこで増殖した状態です。そのため1カ所でなく、全身に多数あることが想定され、治療としては内分泌療法あるいは化学療法で、病勢を抑制することが主眼となります。転移先として多いのは骨とリンパ節、肺、肝臓です。

骨転移の検査

前立腺がんは乳がんに次いで骨転移を起こしやすく、椎体、肋骨、骨盤などへの転移がよく見られます。症状としては痛み、脊髄圧迫、骨折、高カルシウム血症などがありますが、できるだけ早く転移に気づき、治療を始めることが重要です。骨転移の有無を調べたり、転移部位やその広がりを調べたりするために実施されているのが、次のような検査です。

【骨シンチグラフィー】
骨転移の検査としてはゴールデンスタンダードといえるもので、1回の撮影で全身の病変を確認することができ、非常に有効です。最近はこの骨シンチグラフィーの集積具合を解析ソフトで定量的に数値化することで、治療効果や予後との関連について検討することも行われるようになりました。

【磁気共鳴画像(MRI)】
骨シンチグラフィーに並び重要な検査です。骨シンチグラフィーのように全身骨の評価はできませんが、腫瘍が脊髄のどこに影響しているかなど、骨転移局所の正確な病変の範囲を把握でき、周辺臓器との関係を正確に評価できます。

【単純撮影】
病変の有無がわかったとしても、詳細はなかなかわかりません。確実に病変をひろってくる検査ではありません。

【コンビューター断層撮影(CT)】
単純撮影よりも病変部分を正確に見ることができますが、病変の範囲や周囲臓器との関係の描出はMRには劣ります。

骨転移に対する放射線治療

放射線治療の一番の目的は、痛みの緩和です。痛みの主な原因には①腫瘍が大きくなり、周りの正常な構造を圧迫する、②腫瘍が大きくなる過程で痛みの原因となる物質が周りに出て、それにより痛みがでる――の2つがありますが、放射線治療には、腫瘍を小さくすることで圧迫症状を抑える可能性と、痛みの原因物質の産生を抑える力があります。そのため、腫瘍が小さくならなくても痛みを取ってくれる効果は十分期待できます。それ以外では、麻痺の改善・予防、病気の進行に伴って起こる骨折の治療や予防を目的に行うこともあり、長期生存が期待できる人には、準根治的照射もあります。

骨転移に対する放射線治療には、体の外から放射線をあてる外部照射(外照射)と放射線同位元素を使ったRI内用療法というものがあります。

【外照射】
病変部分を囲むように照射範囲を設定し、どちらの方向からあてるかを決めて照射します。照射線量は、全身状態、転移の個数、今後の病状についての医学的な見通しなどを加味して決めますが、次のような治療(放射線量/回数)が一般的です。

8Gy/1回
20Gy/5回
30Gy/10回←緩和照射の標準的線量

いずれも痛み緩和の率(除痛率)は大体同じですが、時間がたちまた同じ部位に痛みが出て再度放射線治療が必要になる頻度は、照射回数が少ないと、その率が高くなる傾向があります。長期生存可能な状況の場合は、50Gyを25回に分けて放射線治療を行うこともあります。外照射を実施した場合の除痛率は60~70%、完全除痛率は20~30%程度期待できます。

【RI内用療法】
放射性同位元素(RI)を医薬品として治療目的で静脈内投与して、がんの病巣部へ直接放射線をあてる治療です。
代表的なのが塩化ラジウムというRIを用いた療法です。α(アルファ)線を放出しますが、遠くまでいかず(イメージ図参照)、すぐ近傍にしか影響を及ぼしません。前立腺がんにのみ適用され、腫瘍制御にも影響し、生存率へも寄与するといわれています。

脊髄圧迫に対する緊急的放射線治療

骨転移の重要な病態として知っておいてほしいのが脊髄圧迫であり、緊急的な放射線治療の適応になります。これによって完全麻痺が起きると、24時間から48時間経過するまでに治療を開始する必要があります。脊髄圧迫の症状としては、下肢が脱力し、足の感覚がわからない、膀胱直腸障害が起き、排泄の際におしっこや便が出る感覚がわからないといったものです。手術、放射線治療、ステロイド投与を組み合わせて治療していきます。放射線治療の有効性は高いとされますが、それでも放射線治療による歩行機能温存率は60~70%、完全麻痺の状態から歩行可能になる率は0~10%、治療開始時に歩行不能だった人が歩行可能になる率は20~30%です。つまり、できるだけ症状が軽いときにできるだけ早く治療を開始しないと症状の回復が難しいということです。

転移の部位が1カ所で、麻痺が出てから早いうちに対応できた場合は手術と組み合わせた方が絶対的にいいと思います。まず手術で神経への圧迫を少しでも早く取り、神経の機能を少しでも温存した状態で腫瘍制御のために放射線をあてる形にしたほうがいいでしょう。

リンパ節転移の検査と放射線治療

リンパ節転移に適している検査には、コンピューター断層撮影(CT)があります。一般的にリンパ節転移や他臓器転移病変には、糖代謝の盛んな病変部に薬剤が集積することで病変部位がわかるFDG-PET(陽電子放出断層撮影法)が有効とされますが、前立腺がん転移の場合は糖代謝が低く、集積が弱いためあまり適していません。

リンパ節転移に対する放射線治療としては外照射があります。前立腺がんでは骨盤内のリンパ節転移が多く、その場合は骨盤に対して放射線をあてますが、もっともオーソドックスなのは、骨盤の領域に対して囲むように4方向から照射する方法です。

最近は特殊な照射方法として、腫瘍の形状に合わせた線量分布を形成でき、正常組織の被ばく線量をより低減できる強度変調放射線治療(IMRT)があります。この治療法は、治療直前にCTを撮影し、その画像情報をもとに位置誤差を補正することで、より正確に病変部に治療を行うことが可能です。これを画像誘導放射線治療と言います。こうした方法では標的に対して正確な照射が可能となる一方、膀胱や腸管といった周辺正常組織への放射線の線量を減らすことができるため、頻尿や下痢、腹痛といった副作用の頻度を落とすことができます。

肺/肝転移の検査と放射線治療

骨やリンパ節に比べると肺や肝への転移は非常に少ないですが、その場合にも病変を見つけるのに圧倒的に有効なのはCTであり、肝臓の場合は造影CTが必要になります。放射線治療として外照射が考えられますが、肺や肝への転移の場合、通常は多発転移なので適用はあまりありません。特殊な方法としては体幹部定位照射と呼ばれるものがあり、7-8方向から放射線をあてて腫瘍を制御することが可能です。ただ適応はある程度制限があり、転移性のものに関しては腫瘍があまり大きくなく、病変の数が3個以内の場合の局所制御に用いられます。

最近は、転移があっても腫瘍が全身に多数広がっておらず、限局した部位にのみに存在しているオリゴ(少数)転移と呼ばれる病態が注目されています。具体的には転移が3つくらいまでで、原発巣が制御されている場合、早期の転移巣への局所治療で生存率が改善するというもので、それを裏付けるような報告もでてきているようです。

前立腺がん転移への治療の基本は内分泌療法や化学療法ですが、その方針決定には骨シンチやCT、MRIなどの画像検査が必要になりますし、治療中の症状緩和や局所制御という場面では放射線治療が使われます。オリゴ転移という考え方がでてきている点から考えても、今後も放射線治療の果たす役割はより重要と考えます。

【講演記事3】

治療と向き合う上で大切なこと~骨転移を体験して

川﨑陽二さん

実は今日、みなさんの前に立つことができないと思っていました。腰部の脊椎に骨転移があり治療中なのですが、それが神経にさわって、このイベントでの登壇が決まった後に歩けなくなっていたのです。それが5日前に内視鏡手術を受けたところ、昨日退院。きょう徳島から飛行機で来ることができました。そうした治療もあるので、骨転移があっても明るい未来もある。そういうことを知っていただきたいと思います。

私は6年4カ月前に去勢抵抗性前立腺がんと宣告されました。ステージは「T3b N1 M1b」で後腹膜リンパ節転移がある状態でした。骨転移どころか、がんそのものの理解をしなければならず、すぐには受け止められませんでした。その後現実を認め前進あるのみだ、と考えるようになりましたが、その間には原稿用紙何十枚にもなるような葛藤があったことは、皆さんであればよくわかっていただけると思います。

告知前は人生初めての貧血で倒れたり、高熱が出たりし、内科から泌尿器科に紹介されました。現在はホルモン治療、抗がん剤治療、それと骨転移ですから整形外科で手術を2回受けています。1回目は腰部脊椎の除圧術で今回が2回目です。さらに、骨転移された方に重要視していただきたいのですが、口腔内の衛生管理も重要にしています。

骨転移について私は甘くみていました。病気になる前は介護士をしており、介護の世界は肉体労働で腰痛持ちが多いことから、「私もようやく腰痛持ちなった」「介護のプロになったかな」と変な勘違いをし、肩こりも「50を回るとやはり肩こりも出てくるのかな」と。ただちょっと普通とは違う肩こりなので不思議に思っていたら、がん告知後に骨転移の症状だと聞いて、驚きました。

最初は我慢できる腰痛、小さな痛みでしたが、そこから全身を針で刺されるような痛みに。骨転移を経験している人にしかこの表現はなかなか理解できないと思います。そういう状況で眠れない状態が1週間続き、主治医の方へ(睡眠不足で)眼を真っ赤にしていきました。そこで痛みを抑えるための放射線治療を経験しました。骨シンチグラフィーの検査も受けましたが、幸い足にはまったく骨転移がなく車いす生活は免れました。骨盤、脊椎、肋骨、鎖骨に転移があり、放射線緩和治療を受けたり、分子標的薬を使ったりしました。

症状はその後改善傾向にあったのですが、治療開始から4年が過ぎたころに骨転移が原因と思われる脊椎管狭窄症を発症し、第2の骨転移治療が始まりました。ここではさまざまな鎮痛剤を服用し、歩行困難になったときにはペインクリニックで麻薬を打ったり、ブロック注射をしてしのいでいました。狭窄症の治療では、ボルトを骨に打つ固定術がよく行われていますが、私の骨はボルトを打つと崩れてしまうというので、最終的には今回の除圧術という手術を選択しました。

治療を受けて良かったものには、放射線緩和治療などのほか、口腔外科治療、手術があります。一方、骨転移で苦しかったことや辛かったことは、一番が狭窄症で介護福祉士の職を失ったことです。外見上理解されず、「怠けている」と思われることありました。

最後に治療を受けるうえで大切だと思うことを紹介しておきます。

小さな症状でもがまんせずに訴えること、「介護福祉士だから腰痛はあり得る」などと私のように自己判断しないこと、どういう治療でも生活の質を低下させたら治療はうまくいかないし、免疫も低下しますから、ある程度は生活の質を保った治療がいいということ。そして私の場合は狭窄症がそうでしたが、ほかの骨病変にも気をつけること。病的骨折もあり得ます。

骨の痛みはどんな名医でもわかりません。私たち患者が、あそこが痛いここが痛いと訴えることが大事で、それを聞いて医師が最善の治療を施してくれると思っています。

【講演記事4】

「Q&Aディスカッション」

パネリスト:江藤 正俊先生 塩田 真己先生 大賀 才路先生 川﨑 陽二さん
司会:武内 務さん(NPO法人腺友倶楽部 理事長)

質問:骨転移で病的骨折を起こした場合、まず整形外科に搬送されてしまいますが、放射線照射のタイミングを失ってしまうのではないでしょうか? 患者としてどのように対応すべきか、また、整形外科医はどのように対応すべきか教えてください。

大賀先生:タイミングが遅くなるかという危惧はあると思いますが、脊髄の症状が出ているような場合には、整形外科の手術もひとつの療法です。整形外科で診ていただいた結果、原発が前立腺がんである場合には、泌尿器科に相談があるはずです。最近は、キャンサーボードといって、診療科の垣根を越え話し合いを持ち、そのうえでどういう治療を行っていくかを決めるようにしていますので、入口がどちらであっても、大丈夫と考えます。

武内さん:病院の受け入れ態勢に決められた形はあるのでしょうか。

大賀先生:決まった形というのはないかもしれませんが、そうした緊急事態のときには早めに対応しなければならないということを、日頃から治療法を科の垣根を越えて話し合うことで、共通認識として形成するようにしています。大学病院の場合、前立腺がんなど泌尿器系の疾患であれば、整形外科と泌尿科医と合同で会議をして治療方針を決めている形を取っており、できるだけ早く医療者が対応できるように認識を共有しています。

質問:ホルモン療法が効きにくくなりました。抗がん剤を勧められていますが、不安があります。

塩田先生:そういう不安があるのは理解しています。実際ホルモン治療に比べると抗がん剤治療は体に負担がかかり、自覚症状としてもいろいろきついものが出てくることが多い。ただ、最近は副作用を軽くする薬もあり、ひと昔前の抗がん剤治療ほどではないと思われます。ホルモン治療だけではがんの進行を抑えられないとなると、抗がん剤を使わないとなかなか病状をコントロールできません。副作用はありますが、それを上回るメリットはあると思いますのでしっかり治療を受けることを前向きに考えられた方がいいと思います。

江藤先生:少し追加させていただきますと、抗がん剤の種類によっては、1コース目は入院になりますが、2コース目からは、ある程度患者さんの白血球が下がるタイミングなどを見極めたうえで、外来でやることも可能になってきています。そういう点でも抗がん剤治療は進歩しています。

質問:脊髄圧迫が疑われる痛みやしびれが出た場合、24時間~48時間以内の治療開始が重要だという話がありましたが、具体的にどういった病状が出るのか。またどの病院に行けばいいのかを教えてください。

大賀先生:まず、骨転移の症状では、患者さんに聞いてみると、腰椎に病変がある場合などには「若干腰が重い感じがする」というところから始まることが多いようです。段階的には腫瘍がじわーっと出てきて脊髄や神経を抑えてくるので最初のうちはなんとなく痺れた感じ、感覚がおかしいといった感じです。また、病的骨折のときなどは、痛みが出る前に、麻痺が出る人もいます。そうした症状が何時間くらいで出るかは病気の進行などにもよりますので、一概にお答えできませんが、少しでも早い段階でまずはかかりつけの泌尿器科の先生に相談するのが一番いいと思います。

質問:ホルモン療法を開始して6年弱になり、最近若干PSAの数値が上昇してきています。今後の治療はどのようなものがあるでしょうか。

塩田先生:ホルモン療法を受けていてだんだんPSAの数値が上がっているということですから、去勢抵抗性前立腺がんという状態であると思います。まずCTや骨シンチといった検査を受けて転移があるのかないのか、あるとしたらどういった状態なのかを判断したうえで、次の治療法を検討していきましょう。まず、新規のホルモン剤が出てきているのでそういった薬で治療をする、転移の状況にもよりますが、抗がん剤治療を行う、骨に転移がある場合は放射線医薬品といった選択があるかと思います。

質問:オリゴ転移(少数転移)の局所治療はどこでできますか。有効性についてもう少し詳しく教えてください。

大賀先生:前立腺がんにおけるオリゴ転移の局所治療の有効性は最近データとしても明らかになってきています。治療を検討する場合には、適応できる状態なのかどうかを検査でしっかり確認することが大事です。転移の個数が3個以内なのか、かつ原発巣を制御した状態であるのかです。転移が3個以内でも原発巣に対する治療が未実施の場合は、原発巣への治療が先になります。また、日本国内で行われる治療に関していえば、転移が3個でもまずホルモン治療を行って病勢をみるのが普通です。そのうえでPSAが非常に下がっていて、そのうえで転移巣が変わらない、あるいは小さくなっている場合、局所治療の有効性が考えられるということです。
オリゴ転移に対する局所治療は大学病院であれば受けられると思います。あとはその施設や皆さんが日ごろ受診されている泌尿科の先生と相談してOKであれば、放射線科に紹介していただく形になるでしょう。

質問:現在標準的なホルモン療法をしていますが、ホルモン療法でがん(骨転移)は緩和縮小、またはなくなるものでしょうか。

塩田先生:一般的にホルモン療法は前立腺がんにとても有効性の高い治療法です。基本的には治療を始めた段階ではほとんどの患者さんでPSAという腫瘍マーカーの数値が下がりますし、がん細胞の数が減る、病気が小さくなるという効果も期待できます。ただ、ホルモン治療だけでがんがなくなるかというと、基本的にはそこまでいくのはまれで、あくまで病気を一時的に縮小する効果が見込める治療です。
最初の段階はよくなりますが、2、3年(早ければ1年)でがんが大きくなってくることがあり、その場合は去勢抵抗性前立腺がんと呼ばれる状態で、追加の治療が必要になります。

質問:川崎さんに対しての質問です。疼痛に対する薬物療法をなさっていますが、気分の浮き沈みや眠気、食欲不振はありませんか。どのように対処されていますか。

川﨑さん:鎮痛剤の副作用ですが、大変眠いです。非常に強い睡魔が襲ってくる。ただ私の場合は無職なので自由に昼寝することができ、30分か1時間眠ればすっきりします。食欲不振はありません(笑)。ただ、油ものに関しては鎮痛剤の副作用かどうかわかりませんが、受けつけなくなり野菜中心の食生活になってきました。

質問:PSA数値がある一定値を超えても、ホルモン療法をすぐにする必要はないのでは?ホルモン療法の開始を遅らせれば、「無治療期間+ホルモン療法の有効期間」で存命期間が長くなるように思うのですが。

塩田先生:医師側でもそういう意見はありますが、ホルモン治療の開始を遅らせるとその分病状も進行し、ホルモン治療が効く期間が短くなるという臨床試験のデータがあります。治療開始が遅くなれば、その分転移が進み、それによる痛みなども出てくるというデメリットもあるでしょう。いつ始めるかというのは難しい判断ですが、いたずらに治療せずに様子をみるのは決していいことではないのではないかと思います。

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最後に皆さんから来場者にメッセージをお願いします。

川﨑さん:私は骨転移に対してこの6年間いろんな治療をやってきました。苦しんでは治療があって、また痛みが出たらそれに対する治療があり、日本の医学には随分助けられてきました。骨転移に苦しんでいる方もいると思いますが、その人にあった最適な治療はあるということで前向きに歩んでほしいと思っています。

大賀先生:皆さんは放射線と聞くだけで抵抗感があると思いますが、最近の放射線治療は体に優しいものになっています。本当に放射線を当てたいところに限局する形で放射線治療が可能になってきています。それによって副作用はできるかぎり抑え込み、かつ治療効果を上げていくというスタンスでやっています。特に前立腺がんで転移が伴う状況であれば、放射線が活躍できる場面もありますから、そういうときにはぜひ放射線治療について相談していただければと思います。

塩田先生:最近は前立腺がんに対していろいろな治療法が出てきて、だんだんと余命を伸ばすことができるようになってきました。がんによる症状を緩和できる時代です。ですから、患者さんから症状について積極的に医師に相談してほしい。それに対して我々もできる治療を積極的に行うことで、患者さんの苦痛をできるだけ取っていくようにしていきたいと思っています。

江藤先生:川﨑さんの「自分の症状をとにかくきちっと伝えていく」ということは非常に重要なインフォメーションでありましたし、実際の治療の体験を話していただいたことで、会場の皆さんの参考になったのではないかと思います。大賀先生からは最近の転移診断の技術の進歩や放射線治療薬の進歩。実際の放射線照射も技術が上がってやさしい治療になってきていると教えていただきました。塩田先生からは最新の薬物療法について、新しいホルモン治療のこと、抗がん剤治療を適切なタイミングで行うこと、外来の抗がん剤も入れながら転移に対する新しい治療もできつつあることなどをお話しいただきました。今日の集まりが皆さま方のこれからの受診あるいは今後の治療の選択に対して参考になれば幸いに存じます。本日はどうもありがとうございました。


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