治療を受けるために知っておいたほうが良いこと
Q.納得して治療を受けるために知っておいたほうがよいことはありますか
A.DLBCLの治療法には複数の選択肢があり、それぞれ長所と短所があります。納得のいく選択をするためには、各治療法について医療者から十分な情報を得るとともに、自分の希望などを医療者と共有し、話し合いながら決めることが重要です。
DLBCLの治療は、治癒や病気による症状の軽減が期待できる半面、副作用や長期にわたる合併症などのリスクがあります。治療による長所と短所を理解し、納得したうえで、複数の選択肢の中から患者本人にとって最適な治療を選ぶために、近年、医療現場では「協働意思決定(シェアード・ディシジョン・メイキング:SDM)」という考え方が広がりつつあります。
シェアード・ディシジョン・メイキングは、患者と担当医などの医療スタッフが情報や価値観を共有したうえで治療方針を決めるプロセスです。病気やすべての治療選択肢について、医療スタッフから情報を受けるだけではなく、自身の生活環境や希望なども共有し、話し合い協力しながら最適な治療法を選ぶというものです(図表6)。
特に再発・難治のDLBCLの治療には多くの選択肢があるため、シェアード・ディシジョン・メイキングが不可欠です。DLBCLは初回治療で治ることも多く、必ず再発するわけではありませんし、再発のことなど考えたくないという人も少なくないかもしれません。しかし、再発したときの病状によっては、すぐに治療を始める必要性から、短い時間の中で治療方針の選択を迫られることがあります。いざというときに自分にとって最適な治療を選ぶためには、再発・難治のDLBCLの治療選択肢についても知っておくことが重要とされます。
たとえば、再発・難治のDLBCLの治療選択肢の中には、CAR-T細胞療法(「再発・難治のDLBCLの治療」ページ参照)など限られた医療機関でしか受けられない治療法もあります。また、治療の段階に関係なく必要に応じてセカンドオピニオン(下記コラム)も活用しましょう。
セカンドオピニオンとは?
診断や治療方針について担当医から説明された後、診断や治療方針について、別の医師に意見を求めることを「セカンドオピニオン」といいます。セカンドオピニオンを受けたいときには、担当医に診療情報提供書や検査記録、画像データなどを用意してもらう必要があります。利用にあたっては担当医のファーストオピニオンをまずはしっかり聞くこと、セカンドオピニオンの内容は担当医に伝え、もう一度治療方針についてよく話し合うことが大切です。
セカンドオピニオンを受ける病院の情報は、かかっている病院や、がん診療連携拠点病院の相談支援センターなどで得られます。セカンドオピニオン受ける際には、事前に、受診方法と費用を確認しましょう。
初回治療の前に検討したいこと
初回治療(「DLBCLの初回治療の薬物療法」ページ参照)の治療方針は、LBCLのタイプ(「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)とは」ページ参照)、病期、IPIスコア(「DLBCLの病期(ステージ)」ページ参照)、年齢、全身状態などによって決まります。初回治療でも、複数の選択肢がある場合には、患者と医療スタッフと話し合いながら最適な治療法を選ぶシェアード・ディシジョン・メイキングが大切です。
また、DLBCLの薬物療法では、細菌などから体を守る好中球(白血球の一種)が異常に少なくなる好中球減少症という重大な副作用によって命にかかわるような感染症にかかりやすくなります(「DLBCLの薬物療法の副作用」ページ参照)。この副作用を予防するために投与するG-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)製剤には、持続型GCSF製剤のボディーポッドとバイオ後続品(バイオシミラー)、連日投与型G-CSF製剤があります。
G-CSF製剤を使うことになった場合には、それぞれの長所と短所(図表7)を確認し、医療スタッフと話し合いながら、自身の生活スタイルや価値観、経済状況に合うものを選びましょう。
小児・AYA(思春期・若年成人)世代の場合
DLBCLの初回治療で卵巣や精巣の機能が回復しないほど低下することはまれですが、再発や初回治療の効果がなく(治療抵抗性)強い治療を受けることになった場合には、そのリスクが高まります。そのため、将来的に子どもを持つ可能性を残しておきたい場合には、治療前に担当医に伝え、妊孕性温存療法(下記コラム)を受けるかどうか検討しましょう。すぐに治療を始めなければならないこともあるため、病気の告知を受けた当日に、生殖医療の専門家の話を聞ける体制を整えている病院もあります。
妊孕性温存療法と性生活
妊孕性温存療法は、将来子どもを授かる力を保つための方法です。女性が対象の「卵子(未受精卵)凍結保存」、「胚(受精卵)凍結保存」、「卵巣組織凍結保存」、男性が対象の「精子凍結保存」といった方法があります。妊孕性温存療法を受けるかどうかは、DLBCLの治療医や生殖医療の専門医の説明をよく聞いたうえで判断しましょう。がん患者の妊孕性温存療法の費用に対しては、一定の条件を満たせば、都道府県を通じて国の助成制度が利用できます。
また、DLBCLの治療薬は胎児に悪影響を及ぼす恐れがあるため、治療中や治療終了後しばらくは、避妊が勧められます。どのくらい経てば治療薬の影響がなくなるのかは担当医や看護師に確認するとよいでしょう。
再発・難治のDLBCL
複数の治療選択肢(「再発・難治のDLBCLの治療」ページ参照)があり、身体的・経済的・精神的に負担の大きい治療が提案されることもあるため、シェアード・ディシジョン・メイキングがより重要です。担当医などの医療スタッフとよく話し合い、自分にとって最適な治療を選択しましょう。
参考資料
もっと知ってほしいびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)のこと 2026年版, p.7-8


