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慢性リンパ性白血病とは

Q.慢性リンパ性白血病とはどんな病気ですか

A.慢性リンパ性白血病(CLL)は血液がんの一種で、骨髄やリンパ節の中で異常なB細胞がゆっくりと増殖する病気です。
約半数の人は健康診断などの際、症状のない初期の段階で発見されます。


 私たちの血液の中には、細菌やウイルスなどの異物を排除するリンパ球(白血球の一種)があり、体を外敵から守っています。慢性リンパ性白血病(Chronic Lymphocytic Leu-kemia:CLL)は、そのリンパ球のうち、がん化した異常なB細胞(Bリンパ球)が骨髄やリンパ節の中で増殖し、血液中に増える病気です。
 白血病には、骨髄系幹細胞やリンパ系幹細胞ががん化して白血病細胞となり、急激に増殖して病気が進行する急性白血病と、ゆっくり進む慢性白血病があります(図表1)。CLLは慢性白血病の一つで、一般的には進行がゆっくりです。初期の段階では自覚症状はなく、CLL患者さんの約半数は健康診断で白血球数が異常に多いことを指摘されて発見されています。症状のない初期の段階で治療をする利点がないことがわかっているので、CLL患者さんの多くはあわてて治療をする必要はありません。進行のしかたは人によって異なりますが、中には10年以上無治療のまま経過観察を続けている人もいます。

白血病の種類

 日本ではCLLは白血病の中では少なく、全白血病の約3%※で、がん登録のデータから年間の発症者は1400人程度と推計されます。CLLは50歳以上での発症が多く、患者さんの多くは65歳以上で、男性の発症率は女性の約1.7倍です。アジアではまれな病気ですが、欧米では白血病の中で最も多く、発症率は日本の約10倍です。
※ Chihara D, Ito H, Matsuda T, et al. Differences in incidence and trends of haematological malignancies in Japan and the United States. Br J Haematol. 2014; 164: 536-545.

 CLLは、何らかの理由で体の中の遺伝子や染色体に傷がつくことによって発症します。ただ、CLLの原因や、なぜ人種によって発症率に差があるのかはわかっていません。
 自覚症状としては全身倦怠感、寝汗を伴う微熱、食欲不振、体重減少などが挙げられます。38℃以上の発熱、肺炎などの感染症、脾臓や肝臓の腫れがみられることもあります。また、リンパ節が腫れ、首やわきの下、足のつけ根などリンパ節の多い部位にしこりが発生します。さらに、骨髄で異常なB細胞が増えると正常な赤血球や白血球、血小板が減ってしまうため、貧血になったり、出血しやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりします。CLLでは、赤血球と反応を起こす抗体ができやすく、その抗体に反応して赤血球が破壊され自己免疫性溶血性貧血と呼ばれる重症の貧血を起こすこともあります。
 なお、異常なB細胞がリンパ組織でのみ増えている場合には小リンパ球性リンパ腫(Small Lymphocytic Lymphoma:SLL)と呼ばれますが、広義では同じ疾患と考えられており、CLLと同じ治療が行われます。
 また、血液中にB細胞が増えているものの、その数が少なく、リンパ節や肝臓、脾臓の腫れなどがない場合は、単クローン性B細胞リンパ球増加症(Monoclonal B-cell Lym-phocytosis: MBL)と呼ばれます。MBLからCLLになることがあるので、定期的に検査を受け、慎重に経過をみる必要があります。
 CLLの治療はほかの血液がんと同様に薬物療法が中心です。薬の効果が得られやすく、進行がゆっくりであることもあって、病気と共存しながら生きる人が増えています。
 ただ、異常なB細胞が急激に増殖するリヒター症候群になってしまった場合には、CLLの治療ではなく、アグレッシブリンパ腫と同じ治療が必要です。

リヒター症候群とは

 異常なB細胞がリンパ節や骨髄などの中で急激に増殖して、アグレッシブ(悪性度が高い)リンパ腫の一種であるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に移行する症候群です。CLLの約1割がリヒター症候群になると推計されます。
 主な症状は38℃以上の発熱、体重や筋肉の急激な減少、リンパ節や肝臓、脾臓の急速な腫れなどです。リヒター症候群と診断されたら、できるだけ早く入院して、アグレッシブなびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と同じ多剤併用抗がん薬治療を受けることが必要です。可能なら、造血幹細胞移植を行うこともあります。

血液が作られる仕組みとCLL

 血液中には、赤血球、白血球、血小板といった血液細胞があります。白血球は、リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球、単球の総称です。血液細胞は、骨の中にある骨髄で、造血幹細胞から骨髄系前駆細胞、リンパ系前駆細胞、そこからさらに
機能を持つ細胞へと分化(変化)して作られます。
 リンパ球は白血球の約35%を占める成分で、チームを作って細菌やウイルスなどの外敵や異物を攻撃する働きを担っています。そのチームを構成しているのが、リンパ系前駆細胞から分化したB細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)とNK細胞です。B細胞は、異物と特異的に反応するタンパク質である抗体を介して異物の排除を行っています。 
 CLLは、成熟したB細胞の遺伝子や染色体に傷がついてがん化することにより発症する病気です。

血液細胞の生成とCLL

参考資料

もっと知ってほしい慢性リンパ性白血病のこと 2021年版,pp.4-5

公開日:2022年6月8日 最終更新日:2022年6月8日

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