NPO法人キャンサーネットジャパン > がん情報 > 血液がん > 多発性骨髄腫の再発

多発性骨髄腫の再発

Q.再発とはどのような状態になることですか

A.治療によって目に見えない状態になった骨髄腫細胞が再び出現することを再発といいます。近年、骨髄腫に対する新規薬剤が次々と承認され、骨髄腫の再発治療は急速に進歩しています。


 最初の治療で、骨髄腫細胞やM蛋白が目に見えない状態になっても、ほとんどの患者さんは再発を経験します。

 再発の国際的な基準には、M蛋白再発と臨床的再発があります。M蛋白再発は、CRAB症状は出現していないものの、M蛋白の値が一定以上増加していて再発の徴候が出ている状態です。CRAB症状の再発がある場合は臨床的再発と呼びます。

国際的な再発治療の開始基準

 再発治療の開始時期は、患者さんの年齢や希望、体力、リスクの高い染色体・遺伝子異常の有無、合併疾患の有無、臓器障害、検査数値の上昇の度合いなどから判断します。まだCRAB症状が出ていないM蛋白再発の時点で治療を開始したほうが、患者さんの生活の質(QOL)を落とさずに次の再発までの期間を延長できるという報告もあることから、M蛋白再発の時点で再発治療を開始することが多くなっています。

 再発治療に用いられる薬には、プロテアソーム阻害薬のボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、免疫調節薬のサリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、副腎皮質ステロイド薬のデキサメタゾン、アルキル化剤のメルファラン、エンドキサン、アントラサイクリン系抗がん剤のドキソルビシン、抗体薬のイサツキシマブ、ダラツムマブ、エロツズマブ、HDAC阻害薬のパノビノスタットがあります。

 再発治療では、新規薬剤を中心に、2~3つの薬を組み合わせた併用療法を行います。カルフィルゾミブ+デキサメタゾン(Kd)、Kd+ダラツムマブ(KdD)、Kd+レナリドミド(KLd)、イサツキシマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン、イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(ILd)、ポマリドミド+少量デキサメタゾン、エロツズマブ+レナリドミド+デキサメタゾン、ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾンなどです。

 最初の治療から比較的早い段階で再発した場合には、それまで使っていない新規薬剤による併用療法を実施します。12か月以上経ってから再発した場合には、効果のあった最初の治療を行うこともあります。

 また、自家造血幹細胞移植後、維持療法をせずに18か月以上経ってからの再発には、再移植をする場合もあります。

 再発治療では、1つの薬の組み合わせが効かなくなったら違う薬を使います。CRAB症状が出ているときには、その治療も並行することが大事です。

 近年、効果の高い新規薬剤が次々と承認されており、再発治療によって病状が安定する患者さんも多くなっています。CAR-T療法など次世代の治療薬の開発も進んでいます(コラム「CAR-T療法とは」)。できる限り長い期間、自分らしい生活を続けるためにも、それぞれの治療法の利点と欠点を確認し、納得して治療を受けることが大切です。

 再発後も薬物療法を続けるためには、体力や筋力を保つ必要があります。そのためには、感染症や骨折などに気をつけつつ、しっかり栄養を取り、定期的に散歩やストレッチをするなど、できるだけ体を動かすことも大切です。どのような運動が適しているかは患者さんの状態によって異なるので、担当医や看護師、リハビリ医などに相談しましょう。

CAR-T療法とは

 患者さんの血液からT細胞を取り出して骨髄腫細胞を認識する遺伝子を組み込んで改変、輸血と同じ方法で体内に戻し、遺伝子改変T細胞に骨髄腫細胞を攻撃させる免疫細胞療法です。現在、一部のCAR-T療法がB細胞性急性リンパ芽球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者さんの治療として保険適用になっており、多発性骨髄腫に対するCAR-T療法の開発も進んでいます。

参考資料

もっと知ってほしい多発性骨髄腫のこと 2021年版,pp.17-18

公開日:2022年6月8日 最終更新日:2022年6月8日

BOOKLET多発性骨髄腫の再発に関する冊子