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慢性リンパ性白血病の再発

Q.再発とはどのような状態ですか。どのような治療が行われますか

A.治療によって目に見えない状態になった異常なB細胞が再び出現することです。
 再発後の治療は、初回治療からの期間と染色体・遺伝子異常の有無によって異なります。再治療によって、よい状態を保てる人も少なくありません。


 現時点では薬物療法だけでCLLを完治させることは難しく、最初の治療で完全寛解したとしても多くの患者さんは再発を経験します。

 最初の薬物療法が終わってから24~36か月以上経ってから再発した場合、17p欠失かTP53遺伝子の変異や欠失がなければ、前回と同じ治療、BTK阻害薬が一次治療として使用されていなければ、イブルチニブもしくはアカラブルチニブも選択できます。あるいはベネトクラクスとリツキシマブの併用療法を行います。分子標的薬のベネトクラクスは異常なB細胞に過剰に発現しているBCL-2タンパクの働きを阻害する内服薬で、食後に毎日1回服用します。1~5週目まで徐々に量を増やし、5週目以降は同じ量のベネトクラクスをリツキシマブと併用して服用します。この治療はイブルチニブと異なり、2年間継続します(リツキシマブは半年間のみ)

 初回治療でFCR療法かFC療法を受けた人は、イブルチニブ単剤投与、アカラブルチニブ単剤投与、ベネトクラクス+リツキシマブ療法、BR療法も選択肢になります。アカラブルチニブはイブルチニブと同じくBTK阻害薬で、1日2回服用する内服薬です。

 従来の免疫化学療法に対してUnfitの人も、イブルチニブやアカラブルチニブ、ベネトクラクス+リツキシマブ療法が可能であれば実施します。ほかには分子標的薬のアレムツズマブや減量FC療法、減量フルダラビン療法、シクロホスファミドにリツキシマブを組み合わせた治療も選択肢です。

 アレムツズマブは、異常なB細胞の表面に発現しているタンパク質のCD52抗原に結合し、がん細胞を溶かして破壊する注射薬です。2日間少量連日投与した後、週3回1日おきに投与し、最大12週間まで投与します。

 17p欠失やTP53遺伝子の変異・欠失がある場合や、最初の治療から1~2年以内に再発した場合には、イブルチニブが使用されていなければイブルチニブ、アカラブルチニブ、またはベネトクラクス+リツキシマブ療法が選択肢となります。イブルチニブが使用されている場合はベネトクラクス+リツキシマブ療法で治療します。Fitの人で再発治療によって異常なB細胞が消えた場合、可能ならば同種造血幹細胞移植の実施を検討します。

 このように化学療法が中心の時代から分子標的薬治療の時代になり、内服薬が中心となって、fitnessの基準も変化しています。担当医やセカンドオピニオンの医師とよく相談し、自身の考えや生活スタイルに沿った治療方法を選択しましょう。

 再発治療では、最初の治療からの経過期間にかかわらず、臨床試験への参加も選択肢の一つになります。

 再発したときや期待していた薬物療法が効かなかったときには、CLLの告知を受けたとき以上にショックを受けるかもしれません。しかし、CLLの場合は、再発後の治療で完全寛解が得られる人もいますし、薬物療法を続け、病気とつきあいながら仕事や趣味などを継続する人も少なくありません。

 不安やつらい気持ち、痛みなどは一人で抱え込まずに担当医や看護師、ソーシャルワーカーなどに伝えましょう。CLLとつきあいながら、できるだけ長く自分らしい生活が送れるように、担当医などの医療スタッフと話し合い、納得して治療を受けることが重要です。

参考資料

もっと知ってほしい慢性リンパ性白血病のこと 2021年版,pp.14

公開日:2022年6月8日 最終更新日:2022年6月8日

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