小児・AYA世代とLGBTQ+

小児・AYA世代にも、もちろん40歳以上の人と同じように、LGBTQ+の当事者が存在します。LGBTQ+の当事者が自分のセクシュアリティに気づくのは、小学生から高校生までの学齢期が多いとされます。10代以上の性的マイノリティ当事者を対象にした「主に岡山県内の性的マイノリティを対象とした学校生活に関するアンケート調査」によれば、87%の人が高校生までに自分がLGBTQ+だと自覚していました。生まれたときに割り当てられた性別に違和感がある性自認については、就学前から気づいている人もおり、性的指向よりも早い段階で自覚する傾向があります。
同性愛や性的不合(性同一性障害)は病気とされた時代もありましたが、病気や障害として扱うことは人権侵害であり、正しい理解と尊重が必要です。

例えば、入院時に着る院内着の色の好み、どのような遊びが好きかは、SOGIEに関わらず千差万別です。院内着の色、名前の呼び方、遊具や遊び方を生まれたときに割り当てられた性別によって分けることは、個性の抑圧にもつながるため、控えるようにしたいものです。それは、本人が明かしていないLGBTQ+の当事者の権利や個性を尊重することにもつながります。

小児・AYA世代では、親に理解されないのではないか、否定されてしまうのではないかという思いがあり、親にもカミングアウトしていないことがほとんどです。がんの診断・治療の過程で、小児・AYA世代の患者がLGBTQ+であることに気づいたり、打ち明けられたりしたとしても、本人の同意がない限り、親や他の人に伝える「アウティング」を決してしないように注意しましょう。

最近では、小児・AYA世代の患者が、将来妊よう性(妊娠できる可能性)が低下するリスクの高い治療を受けるときには、担当医や看護師などが妊よう性温存療法の説明をすることが一般的になっています。その際にも、LGBTQ+の当事者がいるかもしれないという前提に立って説明をし、「生まれたときに割り当てられた性が女性なら、将来子どもを持ちたいはず」「生まれたとき割り当てられた性が男性なら精子を保存しておいたほうがよい」など医療従事者側の価値観を押しつけることは控えましょう。そもそも、SOGIEに関係なく全ての人は、自分の性と生殖、つまり、子どもを持つか持たないか、子どもを持つならいつ・何人持つかを自分で決める「リプロダクティブ・ライツ」(性と生殖に関する権利)を持っています。妊よう性温存療法の選択肢を説明することは重要ですが、リプロダクティブ・ライツを侵害していないか、配慮することも必要です。

「主に岡山県内の性的マイノリティを対象とした学校生活に関するアンケート調査」の報告書には、教師の次のような対応に救われたという記述がありました。医療従事者が、患者がLGBTQ+であることに気づいたり、打ち明けられたりしたときにも、否定せずに話を聞き、寄り添う姿勢を見せることが大切です。

<性的マイノリティの人が救われた教師の対応>

「先生が同性愛は全然悪いことじゃないよと言ってくれて嬉しかった」「養護教諭が、性的マイノリティについて一緒に学ぼうとしてくれた」「先生が過度な距離感で見守ってくれた」「先生にカミングアウトしたら、特に驚くこともなく理解しようとしてくれた」「ありのままの自分に接してくれた」

参考文献・参考サイト

・プラウド岡山:「主に岡山県内の性的マイノリティを対象とした学校生活に関するアンケート調査」報告 アンケートの集計結果 – プラウド岡山 (proudokayama.com)