「アウティング」と「SOGIハラ」

アウティングとは、本人の同意なく、その人がLGBTQ+であることを第三者に伝えることを含め、他人の秘密をばく露することです。医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなどの医療従事者は、がんの診断、治療の課程で、患者がLGBTQ+の当事者であることを知る場合がありますが、そのことを本人の同意なく、第三者に伝える「アウティング」を絶対にしてはいけません。第三者には、患者の家族や他の医療従事者も含まれます。

性的指向、性自認については、家族にも伝えていない場合が多く、医療従事者がそのことをアウティングしてしまえば、信頼関係を損ねることにつながります。LGBTQ+に対する差別や偏見が存在するのは事実であり、自分のSOGIEを家族や友人、職場の人にカミングアウトすることはなかなか簡単ではありません。アウティングを行った側が、損害賠償請求を受けるケースも出ています。アウティングを防ぐためにも、患者が、LGBTQ+の当事者であることを知ったときには、本人が誰に伝えているのか、他に誰とこの話をしてもよいのかを確認することが重要です。

SOGIEハラは、アウティングやSOGIに対するハラスメント(差別的な言動や精神的・肉体的な嫌がらせを行うこと)です。「彼氏(彼女)はいるの?」「女の子らしくない」「ホモなんじゃないの」「おかまっぽい」などと言ったり、冷やかしたりするのもSOGIEハラになります。厚生労働省は、2022年6月から、医療機関を含む全事業主に対して、職場におけるパワーハラスメント対策を義務づけました。その中にはSOGIEハラ対策も含まれます。

参考文献・参考サイト

兵庫県明石市「LGBTQ+/SOGIEの基礎知識」

 

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