治療中の性生活

近年、がんの治療は外来での治療が多くなっており、治療中であっても、本人とパートナーが望むならセックスを楽しむことは可能です。セックスによって、がんが進行したり悪化したり、うつったりする恐れはありません。ただ、薬物療法の投与中や投与後48時間以内は、精液や分泌物に抗がん薬などの成分が含まれることがあるので、セックスをするときにはコンドームをつけ、オーラルセックスは控えましょう。

薬物療法の副作用で血液中の好中球が減少している時期には(抗がん薬投与7~14日後)、感染が起きやすくなっているため、セックスはしないほうがよいとされています。放射線治療中には、全身倦怠感や照射部位の皮膚炎などのために、性生活に積極的になれないこともあるかもしれません。

がん治療中は普段よりも感染しやすい状況になっていることが多いので、出血や性感染症のリスクの高いアナルセックスは避けたほうが無難です。また粘膜が傷つきやすくなっている場合があるため、爪などで皮膚の粘膜を傷つけないように注意してください。

性生活には精神的なことも影響しますので、がんに対する不安や治療による副作用によって、病気が分かる前と同じようにはセックスができなくなることもあります。パートナーにセックスを求められたとしても無理はせず、応じたくないとき、つらいときには自分の気持ちを伝えるようにしましょう。また、性交時に痛みや不安があるときには、我慢せずにパートナーに伝え、抱擁するだけにしたり潤滑ゼリーを使ったりしてみてもよいでしょう。