性生活再開のファーストステップ

性生活を再開する際には、お互いにおそるおそる手探りで始めるカップルがほとんどです。パートナーの側もどうしたらよいか、どこまで触っても大丈夫なのか不安に思う人が多いのではないでしょうか。がんの治療後は、ボディイメージなどの変化や性機能障害によって自信を持てなくなったり、セックスしたときの感じ方が変わったり、性交時に痛みや出血を伴うことがあります。

性生活の再開時には、あまり焦らず、お互いに相手の気持ちに寄り添いながらゆっくり進めることが大切です。痛みや不安が強くて快感が得られないと、セックスに消極的になってしまう人もいます。正解はなく、カップルによって心地よい環境は異なりますが、静かな音楽をかけ照明を暗めにするなどリラックスできる雰囲気作りをしてみる方法もあります。女性器に男性器を挿入することだけがセックスではありません。初めての相手、慣れ親しんだ相手であっても、ファーストステップは、キス、ペッティング(体を愛撫する、抱きしめるなど、男性器を女性器に挿入する以外の性行為)、裸に近い姿でのベッドインだけでも、リラックスした気持ちになり心地よい時間が持てる可能性があります。挿入にこだわらず、キスをしたり優しく抱きしめたりするだけでもよいのではないでしょうか。

病気になる前のパターンにこだわる必要はありません。手術のキズや放射線治療のあとを見られたくないというときには、その部分が隠れるような服を着たままセックスする方法もあります。夜に倦怠感が強くなるのであれば、気分のよい休みの日の朝に試してみる、痛みや違和感があるなら、前戯に時間をかけ、触り方、体位を工夫してみてもよいでしょう。女性が腹部や生殖器周辺の手術を受けたときには、開脚によって陰部に痛みを感じることがあります。女性が脚を伸ばしたまま、あるいは、お互い横向きになったまま、女性が男性の上に乗るような体位でセックスすると、会陰部への負担が少なく痛みを伴わないで済む可能性があるのでパートナーと相談し、痛みの少ない体位を工夫してみましょう。

なお、乳がんや子宮体がん、前立腺がんなど、性ホルモンに影響されるがんも含め、セックスをしたからといって、がんの再発、悪化のリスクが増える心配はありません。ただし、体の状態によっては感染しやすくなっている場合もあるので、清潔な環境でセックスを楽しみましょう。