困難が関係を強くすることも

がんをきっかけにパートナーとの関係が深くなる人も

がんという人生にとって大きなイベントを通して、絆が一層深まった、あるいは関係を再構築するきっかけとなったというカップルもいます。がんになったことが、自分自身の人生やパートナーシップを見直す機会になる場合も多いのかもしれません。

セックスに関しても、がんの治療後に回数が減ったサバイバーもいる一方で、セックスの回数が増えたカップルもいます。セックスレスだったけれども、病気をきっかけにセックスが復活したカップルもいるくらいです。

パートナーシップのあり方はさまざまです。「乳がんで全摘手術を受けて乳房を失ったけれど、パートナーが術後の体も受け入れてくれて、数カ月も経たないうちにセックスを楽しめるようになった」という人もいれば、「治療後は裸になる姿を見られるのも嫌だったけれども、2年が経過して徐々にスキンシップぐらいはしてもよいと思えるようになった」という人もいます。セックスについてもオープンに語り合うことや、問題から目を背けずに向き合おうとすることが、困難を乗り越える一歩になることがあります。

つらい気持ちは1人で抱え込まないで

もちろんがんという病気を美化するつもりはありません。がんになったこと、治療の影響で不妊や性機能障害になったことが破局や離婚の原因になる人がいることもまた事実です。つらい状況の対処法は人それぞれですが、できるだけ1人で抱え込まず、誰かに自分の気持ちを吐露しましょう。がん患者と家族に対する相談は、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターなどでも対応しています。がんの患者団体や患者支援団体が支えになることもあります。

がんという経験を通じて、パートナーシップを深め、自分らしいセックスライフを送れるようになる人が増えることを願っています。

参考サイト

国立がん研究センター・がん情報サービス「がん相談支援センターとは」