小児脳腫瘍からの恋愛 進め方は“自分なり”でいい

2歳時、脳腫瘍に罹患した女性(29歳)に話を聞きました。

妊よう性を失う人もいる?

幼いころの治療の合併症で、下垂体機能低下症になりました。そのため月経は自然に起きにくく、薬でコントロールしています。
最近、患者会やがん啓発のボランティア活動をするようになって、「がん治療の影響で、妊よう性(子供を授かる能力)を失う人もいる」と知りました。しかし、私自身がそれに当てはまるかどうかは、考えたこともありません。脳腫瘍の仲間と会っても、話の中心は学生生活や仕事について。妊よう性は、これまで話題にあがったこともありませんでした。
今後、必要があれば医師に相談しようかとも思いますが、主治医は男性のため、少し話しづらい気もしています。

「セックスはできるのかな?」という不安

妊娠できるかどうか以前に、「セックスはできるのかな?」という不安も感じています。
1年前から付き合っている彼とは、まだセックスをしたことがありません。彼は同い年で、健康な人。がん経験者ではありません。
しかし彼は、「お泊まりをしてみたいね」という話をすることはあっても、セックスを強く求めて来たりはしません。今は、ギュッと抱きしめてくれたり、キスをしたりして、お互いの気持ちを伝え合っているところ。それだけでも、とても幸せです。

焦りはありつつも、自然体で

とはいえ、周囲の友人たちが結婚をし始めているところを見ると、少なからず焦りも感じてしまうし、私もいつかは子供をほしいと思っています。だけど、進め方も“自分なり”で、いいと思うんです。自然体でいればいい。結婚、妊娠、セックスのことも、それぞれのステージごとで、お互いに相談していければと思っています。

取材/文 木口マリ