予期性悪心・嘔吐

予期性悪心・嘔吐にはリラクセーションが効果的です

抗がん剤治療を受けた患者さんで、治療時の副作用として吐き気を経験した人の中で実際に抗がん剤を身体に入れているわけではないのに「また苦しいかもしれない」、「吐いてしまうかも」という想像だけで吐き気を感じてしまったり、実際に嘔吐してしまうような人がいます。これは予期性悪心・嘔吐と呼ばれるものです。ひどくなると、他人の点滴をみたり、病院の建物を見ただけで、吐き気や嘔吐することもあります。

予期性悪心・嘔吐には普通の吐き気止め(制吐薬)はあまり効果がないとされ、抗不安薬が用いられています。また、リラクセーションなども効果的とされています。つらさのあまり治療に前向きに取り組む意欲が失われてしまう前に、主治医や看護師、薬剤師に相談するほか、心の専門医に話をして、リラクセーション方法を教えてもらいましょう。

悪心(おしん):吐き気
嘔吐(おうと):吐くこと

参考資料

  • 明智龍男:がんとこころのケア,pp.59-60,日本放送出版協会,東京,2003
  • 大西秀樹、田中明子、仲沢経夫、平原史樹、小阪憲司:抗がん剤使用後の予期性嘔吐に対してalprazolamが奏効した2症例. 精神医学 41:433-436,1999.
  • 一般社団法人 日本癌治療学会編:制吐薬適正使用ガイドライン 2010年5月【第1版】,pp.45-46,金原出版,東京,2010