平成27年診療報酬および介護報酬改定のポイント

監修者 濃沼信夫(東北医科薬科大学医学部 教授)

平成27年1月診療報酬改定の解説

●70歳未満の方について、高額療養費の自己負担限度額が細分化

平成27年1月診療分より、70歳未満の方に対する高額療養費の自己負担限度額が所得に応じて見直されました。70歳未満の方の所得区分が3区分から5区分に細分化されました(70歳以上の方は変更ありません)。詳しくは、「医療保険制度と医療費」のページをご参照ください。

●「小児慢性特定疾病」の対象が拡大され、小児がんの患者さんが医療費助成の対象に

平成27年1月から、医療費の助成を受けられる「難病」「小児慢性特定疾病」の対象が拡大され、これまで医療費助成を受けられなかった病気の方も、医療費助成を受けられるようになりました。

がんの患者さんは、「がん対策推進法」「がん対策推進基本計画」など所定の法制度・医療制度に基づいて医療を展開している疾患のため、原則として、指定難病の対象外となります。しかし、「小児慢性特定疾病」には、悪性新生物群(いわゆる「がん」)が含まれ、白血病、リンパ腫、固形腫瘍、中枢神経系腫瘍など、約90の疾病が「がん」(小児がん)に相当します。

小児の難病に対しては、平成26年まで小児慢性特定疾患治療研究事業として、医療費の助成が行われてきましたが、平成27年1月1日より対象が拡大され、「小児慢性特定疾病」と認定された小児がんの患者さんは、医療費の助成が受けられるようになりました。詳しくは、「小児慢性特定疾病の医療費助成について」のページをご参照ください。

平成27年度介護報酬改定の解説

介護保険制度では、第1号被保険者(65歳以上)の場合、がんの患者さんを含む全ての被保険者が同制度を利用することができます。しかし、第2号被保険者(40~64歳)の場合は、特定疾病と呼ばれる16の疾病(PDF)に限って、介護が必要になった時に介護保険制度が利用できます。特定疾病には、がん末期の患者さんが含まれます。

ここでは、がん患者さんにかかわる介護報酬改定の内容を解説します。

1.地域包括ケア実現に向けた改定

「地域包括ケアシステム」とは、将来、中重度の要介護者や認知症高齢者になったとしても、「住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるようにする」という基本的な考え方のもと、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する支援体制のことです。「地域包括ケアシステム」の実現に向け、平成27年度は次のような視点で、各サービスの報酬や基準が見直されました。

  • 24時間365日の在宅生活を支援する定期巡回・随時対応型訪問介護看護をはじめとした「短時間・一日複数回訪問」や「通い・訪問・泊まり」といった一体的なサービスを組み合わせた包括報酬サービスの機能強化
  • 在宅における中重度の要介護者の療養生活を支えるために看護体制の強化加算(300 単位/月)が新設
  • リハビリテーションの理念の中でも「活動」「参加」に焦点をあてた新たな報酬体系を導入し、質の高いリハビリテーションの提供を促進
  • 要介護者が摂食・嚥下機能の低下等により食事の経口摂取が困難となっても、自分の口から食べる楽しみを得られるよう、多職種による支援を促進

2.介護報酬は2.27%の引き下げ

平成27年度介護報酬の改定率は、賃金・物価の状況、介護事業者の経営状況等を踏まえて、全体で2.27%引き下げられることになりました。そのうち、在宅分は1.42%、施設分は0.85%の引き下げとなります。

3.介護職員の処遇改善

今後、「地域包括ケアシステム」を推進するためには、増大する介護ニーズに対応できる介護職員の安定的な確保と更なる資質向上への取り組みが必要となります。このような背景より、介護職員の処遇が後退しないように現行の加算の仕組みは維持しつつ、更なる取り組みを進める事業所に対して、上乗せ評価を行うための区分が創設されました。
2015年5月25日作成