シンボルマークの梅から名付けた「白梅食」あり!東京医科歯科大学医学部附属病院 栄養部紹介!

2017年4月13日、東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部を訪問し、お話を伺いました。

外来での栄養相談について

栄養相談は外来化学療法室やがん相談支援センターと連携し行っています。食事は摂れているか?栄養状態は大丈夫か?と医療者が感じた患者さんはもちろん、患者さんやご家族から栄養相談を受けたい、と希望があった場合に依頼があります。医師・看護師が、患者さんから食事や栄養に関する不安や疑問を訊かれた場合にも臨床栄養部に繋げてくれるようになりました。

また、耳鼻咽喉科・頭頸部外科外来では、疾患そのものや治療による口腔内の問題・嚥下障害などで食事が摂りづらい患者さんが多いので、栄養補助食品や治療用特殊食品のご案内をすることもあります。

わたしたち栄養士は、栄養や食事の専門家ですので、栄養価が高いものや、調理や食品選びの方法など、その患者さんやご家族にとってより良い食べ方の工夫をお伝えしています。

手術前・手術後の栄養相談について

現在は、外来で検査を受け、手術の1~2日前に入院し手術を迎えることがほとんどで、手術に向けての栄養相談はあまりできていません。
食道がんや胃がんの患者さんには、退院前に栄養相談を行い退院までサポートしています。
また、胃がんの患者さんは退院から約1か月後の栄養相談も予定に組まれているので、家に帰ってからの食事摂取状況、消化器合併症の有無、食事で困っていること、心配なことなどを確認し、解決に繋がるよう話をしています。
臨床栄養部としては今後、術前からの栄養介入を行っていくことが課題です。

化学療法中の栄養相談について

味覚異常、吐き気、嘔吐、下痢など患者さんの話をよく聞いて、解決・改善方法や栄養補給法などを一緒に考えるとともに、その症状に合わせた資料をお渡ししています。食事で悩むことの多い化学療法中の患者さん用に、臨床栄養部のスタッフが資料を作成しました。患者さんから多く聞かれる悩みや不安を軽減できる内容となっています。

(写真は、患者さん・ご家族向けの資料を作成された有本さん)

入院中の栄養相談について

入院中の患者さんには、病棟担当と連携をして栄養相談を行っています。

患者さんから、「とにかく食欲がない。食べたいものがない。」と言われるのが一番つらいことです。ただし、頻繁に様子を見に行くことで患者さんにプレッシャーを与えてしまうこともあるので、つかず離れず見守っています。「何か言いたいことがあったら、何か食べたり飲んだりしてみたいと思ったら、いつでも栄養士を呼んでください。」とお伝えしています。

入院中の食欲がない患者さんのための食事を2015年に新しく作りました。
「つぼみ食」「白梅食」の2種類あり、東京医科歯科大学のシンボルマークの「梅」から名付けました。
「つぼみ食」は、食欲がなくても食べられる、フルーツや飲み物などを中心にした、さっぱりしたメニューです。食べ物のにおいも気にならないように献立を立てているので、吐き気が強い患者さん、においが気になる患者さんに好評です。
「白梅食」は、味を濃くしたり、普段から食べ慣れた味を意識して作っています。品数を減らし見た目の負担を減らしており、食べきれた時には充実感・達成感を得られます。また、この食事がきっかけで食欲が戻ってくる患者さんも少なくありません。
つぼみ食や白梅食を食べていただき、その後の食欲の起爆剤になれればと思っています。患者さんからは「また、あのメニューが食べたい!」とリピーターも多いです。つぼみから花開くように、つぼみ食→白梅食→通常食と、ステップアップしてもらえることを目指しています。

つぼみ食                  白梅食

がん病態栄養専門管理栄養士がいます

東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部には、2名のがん病態栄養専門管理栄養士がいます。

がん病態栄養専門管理栄養士:Certified Specialist of Registered Dietitian for Cancers(CSRDC)」とは、がんの栄養管理・栄養療法に関する実践に即した高度な知識と技術を習得し、栄養に関する専門職として、よりがんに特化した管理栄養士の育成とチーム医療への連携強化を目的とした栄養士です。

がん病態栄養専門管理栄養士の育成により、国民のがんに対する予防・治療・ケアに食と栄養の側面から寄与することで、がん診療の向上と医療の適正化が図られることが期待されます。(出展元:日本栄養士会WEBサイトより引用:https://www.dietitian.or.jp/career/specialist/cancer/

がん患者さん、ご家族へのメッセージ

患者さん・ご家族にお渡ししている資料の背表紙にも以下のメッセージを入れています。

※患者さんへ
治療中は、薬剤の副作用、悩みや心配事によって、体調が悪く、食欲が出なかったり、食事を受け付けないときもあります。
そんなときには、無理をせず、体の調子に合わせて食事や栄養について考えていきましょう。
知りたいこと・聞いてみたいことがあれば、どんな些細なことでも、管理栄養士に相談してください。

※ご家族の方へ
食欲がないとき、なかなか食事が進まないとき、とても心配になります。
ただ、無理に食べてもらおうとすると、ご家族にも患者さんご本人にも負担になることがあります。患者さんご本人の体調に合わせ、食事が摂れないときも、食事が摂れるようになったときも、その時に合ったサポートができるよう栄養相談をお役立ていただければ嬉しいです。そして、気になったこと・知りたいことがあれば、どんな小さなことでも、管理栄養士に相談してください。

なぜ、両者のメッセージを同じページに入れているかというと、患者さんは、きっと「ご家族へのメッセージ」もお読みになり、ご家族も「患者さんへのメッセージ」をお読みになり、両者が、相手の気持ちを思い図ることができると思うからです。患者さん、ご家族ともに、がんと上手に付き合っていっていただきたいです。

がん患者さん、ご家族には、是非栄養相談を気軽に利用していただきたいです。栄養相談は、30分間、じっくりお話を伺います。困っていることを解決できるようお手伝いさせていただきますし、医療者に診てもらうというような気構えは不要です。お気軽にご相談ください。
担当医に「栄養相談を希望します」とお伝えください。(東京医科歯科大学医学部附属病院の栄養相談は、同施設の患者さんに限ります)

東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部】
WEBサイト :http://www.tmd.ac.jp/medhospital/medical/central/eiyou.html

2017年4月13日取材