非公開: 閑話けあ(5)悪党

悪党と云えば「悪いヤツ」という意味だが、鎌倉時代に荘園を荒らした者を指して「悪党」と云ったそうだ。鎌倉末期に「悪党」の代表のように云われている反体制の武士?が何人もいたが、そのなかで私は楠木正成と赤松円心に興味がある。武士は領地を命がけで守るが、悪党は領地に固執しなかったという。とくに楠木正成。戦前は唱歌になるほど英雄視されたが、時代が代わると評価も変わるようだ。

楠木正成の思想は太平記を読んでも嘘か本当か判らないが、行動に嘘はない。海音寺潮五郎は、楠木正成には朱子学の大義名分論があったと予想している。楠木正成の行動(戦い)を見ると、そのような結論になると私も想う。たとえ楠木正成が朱子学を学んでいなくても、彼には大義名分があって、彼の行動はその結果である。楠木正成の行動は一貫している。人がどのような人間であったかという問題は行動を診るしかないし、それは生きている周囲の人間、自分も含めて同じだと思う。人にどんな考えを聞かされても(云っても)、その人の行動が伴っていないと,その人の真の考えは判らない(証明できない)。

私の友人に不器用な生き方しかできない者がいる。NPOで働いているが、先駆的な仕事をしているので賛否両論がある。どの業界でも、歴史的にも、パイオニアとはこういう人間だと思う。人に不快に思われることは良いことではないとしても、迷惑を掛けていないのであれば、社会に貢献していると信じるならば、一貫した行動を取り続けて欲しいと思う。一度そのようなアドバイスをしたら「どうせ,そのような生き方しかできない」と云われた。そうなんだろうと思う。私は彼のような不器用な男が好きなのだが、周囲はハラハラすると云っても過言ではない。10年ひと昔と云うが、10年後に生があるならば、一緒に笑っていることを期待したい。

岩瀬 哲
著者プロフィール:岩瀬 哲

東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部 副部長
1994年埼玉医科大学卒業。2003年より現職。緩和医療学と臨床試験データ管理学が専門。座右の書は「葉隠聞書」。元ボクサー。JAZZはダラー・ブラントの「アフリカン・ピアノ」。リチャード・ドーキンスに影響を受け「進化医学」も標榜している。
2007年以降もっとも力を注いでいる業務は、がん患者と家族を中心とする「地域医療連携」。がん患者と家族には「かかりつけ医」が必要と訴えている。
日本乳癌リサーチネットワーク(JBCRN)と日本緩和ケア検証ネットワーク(JPCAN)の科学ディレクター兼任。2011年8月、TIA(一過性脳虚血発作)を発症するも復活。

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